平成12年7月18日
偽  札
  先日、直営店の店長が、「この5千円札、少し変ですよねぇ」とお札を差し出し、「銀行の両替の機械に何回入れても拒否されるし、どうしましょうか?」と話し掛けてきました。
  手に持ってみると、黙って渡されれば気付かない普通のお札ですが、良く見れば、何となく色は濃い感じで、新しい5千円札と比べると横幅も2ミリほど狭いようです。
  ですから「誰が持ってきたか分かるの?」と聞くと、「全然記憶がありません」という。通常のお札と全然違う状態であれば、受け取ったときに『変だッ!』と思うのでしょうが、本物と変わらないからやっかいです。
  洗濯機で洗った場合には、お札の縁が傷むはずですがその様子は無く、注意して見れば何となく厚ぼったい感じで、本物には有る透かしもぼやけています。そして、目の不自由な方のための左下の二つの凹凸の丸の状況や色も何となく変なのです。もっとも、『偽札』と疑って見るからなのかも知れません。
  お隣のカバン屋さんに行って「偽物でしょうかねぇ」と言うと、「良く見ると確かに変だねぇ!」となり、 「偽物だとしたら、商店街の他の店でも被害があるかも・・・」と話しは大事件に発展していきます。
調  査
  当日は土曜日でしたから、銀行で確認することが出来ず、荏原町の交番に行きました。
  交番のお巡りさんも、自分のお札と比べながら首をかしげる。そして、本署の刑事と電話で相談した結果「申し訳ありませんが、銀行で調べて、偽札と決まってから警察署に行ってくれませんか」という。
  ですから、「偽札だったら、生涯の記念として大事に取っておく」というと、「そうおっしゃらず、その場合には事件の証拠品ですからご協力ください」というのです。
  で、確認できない土曜と日曜は待ち遠しかった。そして週明けに東海銀行に持って行ったら、自動機と偽札番号表の両方で調べたあとで、支店長と副支店長のお二人が、「ドルの偽札は見た事があるけれど、治安が良いためか日本の紙幣の偽札は見たことが無い。しかし、このお札はかなり疑わしい!」とおっしゃった。
  そして、「本格的に調べるとなれば、本店を経由して日本銀行で鑑定することになりますし、その場合には、二ヶ月ほど期間が必要と思います・・」というのです。
  加えて、「500円玉の偽物の場合、受け取ったご本人の損害ですから、もし、偽札だったら、結果報告だけでお金はお返し出来ないかも・・」と言われて、「それじゃ〜面白くない!」と引き返しました。  
  好奇心旺盛な私としては、『偽札』と決まったわけではありませんが、黙って渡されれば誰も気付かない『偽札らしき物』を持っていると『誰かに見せて自慢したくなる』のは行きがかり上当然です。
  ですから、まずは工場と直営店の人達に、そしてお店の人や友人・知人にと見せたら、誰もが『チョット見は判らないけれど、怪しい!』と驚くので、私はますます嬉しい状況になっていきます。
あれこれ
  商人としては、『お客さんが持ってきたお札を、目の上に掲げて念入りに透かしの確認をするのも失礼になるし・・、かと言って、偽札で売上と言えるのか・・?』と考えると、実に対応が難しい。
  犯人が偽札を使う場合、『住まいや職場など、自分の顔を知られている近隣では使用せず、少し離れた渋谷や池袋の繁華街の繁盛している店か、お年よりが店番している所を狙う・・・』でしょうねぇ。
  製紙業界では、政府との取り決めで紙幣用の用紙は、政府からの注文以外は似た用紙さえ作成しないのですが、ニセドルで判るように、諸外国の中には似た用紙を作る製紙会社も在り得るようです。
  ところで、疑惑のお金は、田園調布警察の刑事さんにお渡ししましたから、近いうちに愛論百科=w偽札第二弾』を発行できるかもしれません。お楽しみに。
今回の5千円札が偽札とすれば、カラーコピーかパソコンとスキャナーで作ったと私は推理するのですが、
コピー機とパソコンの機能の進歩が偽札犯人を喜ばせるとしたら大問題です。
『このお札は、本物の偽物だッ!』等と、何だか良く分からない単語まで飛び出す楽しい数日でした。
下のお札、BG638851Zが怪しい

『その金は、今夜にも養老の滝で
一杯飲んだ方が得だッ!!』とは、
さる長老の貴重なご意見でした。



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