平成12年6月20日
摩訶不思議
  ゴルフというスポーツは、大きな耳掻きのようなクラブでボールを打ちながら、何回打って目的のホールにボールを入れられるかの競技で、少ない打数で入れられるほど優秀な成績になります。
  ゴルフに『ホールインワン』という用語があります。それは、ゴルフの上手な人が3回から5回打ってホールに入れられる距離や状況なのに、たった一回打っただけのボールがホールに入る事をいうのです。
  100〜230bも先にある直径10.8_の穴に、一回打っただけでボールが入るのは、一生のうちに一回あるかないかというほど珍しい出来事であり、ゴルフ場に通う数と技術だけでなく、幸運が重ならないと体験できないと言われ、それを祝って記念品を贈ったりパーティを催す等の大きな出費に保険もある程です。
  ところで皆さんは、不思議な事を信じますか?。下記は、私がゴルフ場で体験したとても不思議な出来事を、長野県に住んでいる弟に手紙で知らせた文章から、一部手直しして愛論百科≠ノしたものです。
弟への手紙
  日頃、宗教には無頓着で、因縁めいた話しや『世にも不思議な物語』などをテレビで見るときには笑いながら気楽に見ているのは、私の持って生まれた性分なんでしょう。
  それでも、先日実に不思議なことがあったので久し振りに手紙を出すことにします。
  その日、神奈川県にある横浜カントリーのメンバーの友人M氏に誘われて、月に一回程度で成績にこだわらず、賭けも無しの楽しむゴルフに出掛けました。蒸し暑い日でしたがワンハーフのプレーの残り5ホール程度のところで、気楽にドライバーを打つとボールは林に入ってOB(失敗のこと)です。
  それでも、ボールの落ちた所はフェアウェーに近かったから林の中に入ってみると、すぐにボールは見つかったが、すぐ側に、何時も使っている物と同じニューウィングのボールが落ちていて、ついでに拾って見るとボールに何か絵や文字が書いてある。
  まだ老眼にはならないので読むと、青い字で『ホールインワン。1998.2.15。中島袈裟幸』と読めるではないか。『2』と『幸』の文字が少し読みにくいが、それでも『信じられない出来事だが、これは、 250`以上も離れた長野に住んでいる弟の記念のボールに間違いない!』と思った。
  あまりの偶然な出来事に、自分でさえも驚きの状況となり、一緒にプレーをしている仲間に言っても『冗談!』としか受け止められないと考えて、『弟のボールを偶然に拾った!』と言う事ができず、『これは、弟のホールインワンの記念のボールだよ』とだけ言ったのです。
  私達の兄弟で、四男の勝彦と同じ名前は時々見掛けるが、長男の王利と次男である私の武利、そして、三男の袈裟幸の三人の名前は、新聞でも電話番号簿でも一度として見掛けたことがない。
  そして、ゴルフ場で他人のボールを拾ったことはあるが、そこに名前があったとしても大抵は注文で自分用の物を作っているボールであり、ホールインワンの記念のボールは始めて拾ったほど少ない経験です。
  滅多にゴルフをしない私が始めて拾った記念のボールが、数年間会っていない弟の物とは話しが出来すぎている。世の中には、『同じ中島袈裟幸という名前の人がいるのだろうか?』。
  それとも『弟の記念のボールを使って横浜でゴルフを楽しんだ人がいるのだろうか?』。そして、『林の中に有ったのだから、もしかするとかなり以前に打ち込まれた物かも知れない』などと思考をめぐらせる。
  日本は狭い国とは言え、それでも、1億3千万人もの人間が居ると言うのに、2年半も前に記念に配った弟のボールが、縁あって林の中で兄の手に渡るとは驚きだ。還暦を過ぎた年齢になり、『世の中には、実に不思議なことがある!!』と始めて知った貴重な体験でした。
  久し振りの手紙が、不思議な縁の話しになったけれど、もし、同じ苗字と名前の人が他に居るとしても、それはそれで不思議な話しであり、ここ数日、記念のボールを眺めては感じ入っています。そして弟、袈裟幸の記念のボールと信じつつ、『ホールインワン、おめでとう』。まずは、不思議な体験からの報告です。
 ゴルフ場は結構広くて、変な所にボールを打ち込むと捜すのも楽ではないのですが、250`も離れた所に住む弟のボールを見つけたのは『ホールインワンより驚異的な体験!!』と私は思っているのですが。
驚 き に
 川柳さえも
  ままならず


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