平成12年6月6日
安  床
  100円ショップやユニクロを始めとして、お酒、お寿司、家電、ドラックストアなどと様々な業種に激安商法が目立ってきました。ま、クリーニングも例外ではありませんが。
  昔から、安い床屋さんを『ヤスドコ』と言います。漢字にした場合『安床』の書き方で良いのか自信がありませんが、理髪業界も激安があるのは同様で、今回は料金の安い床屋さんのお話しです。
  ポプラの直営店から三軒目に、チョー安い床屋さんが開店しました。普通の床屋さんの散髪料金は3千円から4千円のお店が多いと思いますが、今回開店した激安のお店は『たったの1000円』です。
  通常、床屋さんに行くと、髪を刈って頭を洗い、濡れた頭を乾かしてからお客さんの座っている椅子を寝かせて、顔に蒸しタオルを乗せたあとで髭(ヒゲ)を剃るパターンです。
  しかし、激安のそのお店は全然方式が違うのです。5月25日に開店したその店は、看板に『理容』と書かず『カットのお店』と記してあるように、髪をカットするだけで頭は洗わず髭も剃りません。
  普通の床屋さんの散髪時間は1時間程度ですが、そのお店は原則として10分間。刈った後の髪の毛は掃除機の様な吸引機で吸い取ってお仕舞いですからスピードは驚異的です。
システム
お湯も水もガスもボイラーの工事も不要となり、水周りの工事が無く鏡と椅子だけで開店できたからです。
  出来上がった店の椅子は、リクライニング式の高額なものではなく、頭を洗う設備や髭剃りの備品が無いし、ボイラーなどの設備も無いのですから、実にすっきりしていますが何となく寂しい気もします。
  お客さんは、入り口の自動券売機で1000円の券を購入し、その券を自分の担当の理容師に渡します。三人いる女性の理容師は、一日に自分の刈った客数だけの券を持っていることになります。
  1000円のカット料金は、その内、400円がオーナーの取り分で600円が理容師の分ですから、実に分かり易い分配方法ですし、自動券売機ですから売上の管理は完璧です。
  一日の仕事が終わると、券の数だけの計算をしますから収入ははっきりします。仮に、その日に理容師のAさんが50人のお客さんを処理したとすれば、50人×600円=30,000円の収入です。
  普通の床屋さんの理容師は、一日に18人刈るのが最高の人数ですが、安売りの場合には、10分間の処理ですから一時間に5人は楽で、一日に50人などと言う驚くべき人数も可能となるのです。
  例えば、普通の床屋さんの場合に『5人の先客』がいれば、2、3時間は待たされるのに、その床屋さんでは、10人待っていても20分もすれば自分の番になるのですから、忙しい人にはとても便利です。
  今回開店したお店の場合、利用する中年の男性客は少なく、高齢者と子供たち、そして意外にも若い女性と主婦の客が多いのです。そして、二軒先にある同業者のお客さんは減らないのに、筋向いにあるパーマやさんのお客さんの減少を感じるのは『カット』だけを望む女性客の影響でしょうか。
興 味
『立地』が決め手であり、相互乗り入れの駅周辺や目抜きの繁華街などでなければ成り立たないようです。
  噂では、一日に三人の理容師で100人のお客さんを刈るのが目標だそうですが、あまり人口の多いとは思えない商店街で、年中無休営業で月に2000人以上もお客さんが来るものなのでしょうか。
  どうやら、曜日や場所によっては、理容師一人当り一日に50人どころか5人×600円=3000円程度の日もあるようで、問題点は『お客さんがコンスタントに集まるか?』というところにあります。
  今回のお店の場所は、魚屋さん→天寿八百屋さん→持帰りの寿司やさん→つる・かめの雑貨やさん→床屋さんと店が短期間で代わっている場所ですから、是非とも末永く頑張ってほしいと思っております。
  私のように、床屋さんで『少し眠るのが楽しみ』な者は『来なくていい客』の代表のようで!。
激 安 が
 パーマを攻める
    とばっちり


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