平成12年5月16日
お 寿 司
  最近は、『回転寿司は、まずいッ!』の常識が変わり、回転寿司のチェーン店が、繁華街や幹線道路沿いなどに大型店の展開でかなり繁盛しているようです。
  びっくり寿司、江戸っ子、日本海などのチェーン店に入ってみると、仕入れ、味付け、盛り付けなどに気を配っているのが良く分かります。(注、びっくり寿司と江戸っ子は回転式ではありません)
  中で、日本海は格が落ちますが、神田の江戸っ子の大きなカニの寿司には驚きますし、びっくり寿司の『オコゼやカレイのから揚げ』などは、かなり手間をかけた粋な味で、見栄えも料金も納得できるのです。
  配達専門の寿司屋のチェーン店の評判もかなりなもので、新展開のライバルの出現に既存の寿司屋さんはじり貧状況となり、残念ながら閉店が目立つのも致し方の無いところでしょうか。
プレゼント
  商店街の一角に、持ち帰り専門の寿司屋A店が出来たのは、確か5年ほど前だったように思います。
  A店の開店当初はそれなりに売れて、オーナーの笑顔も冴えていたのですが、ここ数年はまったく元気がなく、店の前を通っても売れ残りが多いのが判ります。あのシステムも過渡期に入ったようですねぇ。
  『毎日のように大量の廃棄処分を繰り返しては勿体無い!』と、心の優しいA店のオーナーは、その残ったお寿司を店で働いている人達に「家で食べなよッ」とプレゼントをしていたそうです。
  最初は頂くのが嬉しかった売れ残りのプレゼントも、毎日のように続くと飽きてくる。そして、『貰うのが当たり前!』の心境にまでなってしまうのが、浅はかな人間の悲しい現実です。
  そして店員達は、食べ切れないほどに頂いたお寿司を自宅のご近所に配り始めました。頂いたお寿司で義理を果す時に、『もぅ、寿司は厭きたから・・』と余計な言葉まで添えながら。
  当然のことに、寿司を配った先からは大いに喜ばれます。考えてみれば、@捨てる面倒の無くなったオーナーは手間が省け。A店員は、近所の人に恩を売る事が出来て。B近所の人は、只で寿司が食べられるのですから、ちょっと考えると三方が得する素晴らしいアイデアです。
  でも、世の中は筋書き通りには行きません。それから数ヶ月、予期せぬ出来事が発生しました。何と、『あのお店は売れ残りが山ほど出るそうだッ!』の噂が広がっていったのです。
  こういう噂は、困った事に商圏の隅々まで行き渡り、『あそこの寿司はネタが悪いから買わないほうがいい!』と評判となるころには、お気の毒にも、お定まりの『閉店のビラ』。オーナーの優しさが自分の足をすくう事になるとは、何とも皮肉なお話しでした。
お 絞 り
  先日、友人とお寿司やさんに行ったら、隣の席で主婦らしき女性が二人でお寿司を食べていました。
  その二人は『寿司ツウ』なのか箸を使わず、お寿司を直接指で持ち醤油を付けて食べています。そして、食べるたびに『おしぼり』で指の先を拭いています。
  その姿を見て私は『知らないという事は強いもんだ!!』と思った。お絞りは白くて清潔に見えますが、ほとんどのお絞りはリース業者の物ですから、様々なお店でたらい回しになっているのです。
  と言う事は、そういっちゃ〜何ですが、業種によっては、『一本幾らで借りている物だから汚しても構わない!』と、テーブルのみならず、床を拭き、靴を磨き、トイレの掃除までしている場合もあるそうです。
  大衆酒場から焼き鳥屋、レストランやキャバレーまでが同じお絞り会社を使っており、そういうお店で、お客の吐いた物などを雑巾代わりに使う事が無いとは言えないのです。事実、知人がそういう職業を経営しておりますから私は良く聞く話なのです。
  ま、お寿司をつまみながら、靴墨や床のワックスなどの様々な味を満喫していると考えればそれも一興ですが、下手に『ツウ』を演出せず、私は、お寿司は箸を使って食べる事にしています。
珍しく、川柳の三連発
鼻水も 握る板さん 花粉症

売れ残る 寿司に群がる 恩知らず

さまざまな 味と香りの 粋な寿司  


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