平成12年3月21日
混  迷
  平成5年頃から景気が悪化し、あれから7年に及ぶ間、景気上昇の気配すらない状況が続いております。そして、昨年の秋頃から、何業によらず商店街の急激な悪化は特に厳しいものがあります。
  それでも3月13日には、経企庁長官が『桜と共に景気上昇!』といい、14日には大蔵大臣も『もう安心!』のご意見。政府は、『景気回復の兆しあり!!』の見解を事あるごとに発表し、国民に安心感を与えようとしていますが、事実上の懐具合が安定しない限り庶民の安心には程遠いのが現状です。
  政府が『景気回復』の発表をする根拠として、『大企業の好転』を挙げますが、大企業は、激烈、非情と言えるリストラを実行したからの好転の兆しであり、その為の犠牲は計り知れないのです。
  大企業のリストラの第一は、子会社・下請け・孫請け・不採算部門の切り捨てであり、その影響を受けた中小企業の惨状は実にミジメで、倒産から一家離散や自殺までの状況も少なくありません。
  リストラの二番手は、社員の解雇です。解雇しなければ会社が成り立たないの理由で、会社が倒産するよりも、一部の人達の犠牲で残った人達が存続できる解雇の選択を実行します。
  その対応には、止むを得ない部分もあるのですが、その強硬なリストラを実行した会社が少し良くなったからと言って、政府が『大企業は好転してきた!』と言うのは筋違いではないでしょうか。  
閉  店
  さくら銀行の荏原町支店と戸越銀座の二国沿いにあった支店が昨年閉店しました。荏原町に有る第一勧銀も3月で閉店です。その他にも、かなりの数の銀行の支店が閉店しております。
  友人・知人などの情報にも『貸し渋り』の辛酸を味わっている所が出ておりますし、銀行自体も、第一勧業と富士と日本興業が統合。住友とさくら。東海と三和とあさひも統合と合併を模索しています。『親方日の丸だから、銀行は絶対に大丈夫!』の神話も怪しくなってきました。平成不況は尋常ではないのです。  
大 型 店
  品川区にたった一つしかないデパート、大井町の阪急が、魚屋さんを始めとして人気のある食料品売場(食品舘)だけを残して1月の末に閉店しました。大店法で守られていた大型店もいよいよ土壇場です。
  あの場所で46年間も営業していたといいますから、随分と長い間商売をしてきたわけですが、不況に加えて、イトーヨーカ堂大井町店の出店が業績の悪化に大きく影響した事は間違いないのでしょう。
  阪急は、一階の食品コーナーは阪急のままで残し、二階から上はテナントが入り春からスタートだそうです。大井町では勝ち残りのヨーカ堂も、大森の駅前の店は3月12日に閉店でしたから寂しい話です。  
  先日、スーパー業界では『最初の上場企業』である長崎屋が『会社更生法の適用を申請しました』。負債は3800億円、ヤオハンの1613億円を大幅に上回り、流通業界では過去最大の負債額です。
  それでも、長崎屋のような大きな企業には『会社更生法という駆け込み寺』が有るから救われます。中小零細の駆け込み寺は、例の『日栄』のような地獄の釜の炊き出ししか無いのです。
  『知ったかぶり』をする人達は、『バブルの時に、良い思いをした報いだ!』とか申しますが、良い思いをしたのはほんの一握りの人で、大部分の人は恩恵を受けていないのですから腹立たしい。
  この際、商店街の人達が全員で大蔵省に出向き、零細企業に対する『会社更生法の適用』と『公的資金の導入!』を要求するのが良策と考えますが、ご一緒に出かけてくださる方は居られますでしょうか。
  自由ヶ丘の丸井が閉店して数年経ち、この度、そのビル全部を借りて営業を始めるのが、驚く無かれ『セゾングループのパチンコ屋』。巨大なライバルの出現に、地元の同業者は対策に苦慮することでしょう。
  空き店を
    日貸し店舗で
       埋める街


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