平成12年2月1日
似てくる
  先日、家の近くを歩いていたら、中年のご婦人が犬を散歩させていました。その犬は、寒さを防ぐためとお洒落の為でしょうか、肩からお尻に掛けて洋服を着せられています。
  飼い主のご婦人も、犬とペアーの洋服を着ているところを見ると、余程可愛いがっているのでしょうし、おそらく、何着かお揃いの服も持っているだろうと考えると、実に微笑ましい光景でした。
  何気なくご婦人のお顔を拝見すると、何と申しますか、連れている『ペットの犬とそっくりな顔立ち』に見えてくる。そう言えば、ヘアースタイルから歩き方まで似ているように感じるから不思議です。
  ペットと散歩している姿を見ると、飼い主によく似ている場合が多いようで、ペットを買い求める時に、何となく自分に似ているペットを探しているのかも知れませんし、飼い始めてからも、同じ物を食べ一緒に散歩をして、同じ洋服まで着てしまえば似てくるのは当然でしょうか。
  考えてみれば、夫婦も似てくるように思います。長い間一緒に同じ家で同じ物を食べ、同じテレビ番組を見て、総ての生活を共にしていると、仕草から趣味や服装、話題や行動だけでなく、顔立ちやイメージまでも似てくるのが面白いですねぇ。
愚 痴
  年末に、同業を営む知人Aさんのお店を訪問しました。数年前に新店舗を出店したAさんの店は、遠くから見ればまずまずの店造りなのですが、近くで見るとガラスはセロテープの跡だらけです。
  時期はずれのポスターと、アンバランスな商店街のお知らせの紙が乱雑に貼られて汚らしいし、店内の天井の蛍光灯は経費節約の為か数本抜かれて薄暗い。何とも垢抜けのしない店の管理です。
  それでも、それらの事には触れず「やぁ、久し振りだねぇ」と話し掛けると、商人の性でしょうか、すぐに不況と業績の話になっていきますが、時々、眉をしかめるAさんの癖が気になります。
  Aさん曰く、「この場所は良くない!。ろくな客が来ないッ!。他の場所に店を出すべきだったッ!」。と相当深刻な表情で無念の出店を悔やんでいるのです。「出る品物は、安物と汚ねぇ物ばっかりで、情けねぇったらありゃしねぇ」と愚痴は続きます。 
類は類を
  『類は類を呼ぶ』とか申しますが、お客さんも、そのお店の環境や雰囲気に合った人が集まるのです。ですから、だらしない人が管理する不潔なお店には、それ相応のお客さんが利用すると言う事でしょうか。
  若い時には憎まれ口をきいた私も、最近は少し大人になったのか、『Aさんねぇ。そう言っちゃ〜なんだが、店主たる者が、汚れで黒光りしたネクタイに、前身ごろはしみだらけ、衿と袖口が真っ黒に汚れたジャンバーを着ているお店に、お洒落のお客さんは来ないと思うよッ!』。と口まで出掛かった言葉を飲みほした。
  常日頃に『客!』と呼び捨てにする言葉遣いをしていれば、自然とその雰囲気は、敏感にお客さんに伝わってしまい、慌てて『お客様』などと言い直しても、付け焼刃は自ずからはがれるものなのです。
  店で働く人達の服装、人格、態度や言葉遣い。そして、カウンターを始めとする店のイメージが、小奇麗、ござっぱりの状況になった時に、店の『総体的な魅力』が向上し、自分の望むお客さんが少しづつ増えはじめると考えるのが、大不況の中で商人が生き残れる最低条件のように思うのですが、如何でしょうか。
 知人Bさんと話していたら、『俺の友達にゃ〜ぁ、ろくな人間が居ねぇ!』とおっしゃった。
 私が思うに、友達ってのは、自分に合っているから友達であって、『ろくな友達が居ねぇ』人は、自分もそのレベルなのではないでしょうか。相手にだけ要求して自分の反省無しでは虫が良すぎる様に思うのです。
 たった一度しかない人生です。素敵な友人やお洒落なお客さまとお付き合いが出来るように、明るく快活な性格にご自分の変身を心掛けましょう。毎日を有意義に暮らせるように、そして、素晴らしい未来のために。
駄目な人
  駄目な店には
     駄目な客


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