平成12年12月19日
福  袋
  間もなくお正月ですが、お正月の楽しみの一つに『デパートの福袋』があります。安い福袋は千円程度から、高額になれば『宝石や毛皮類、高級マンション』までもあるそうですから豪華です。
  通常の福袋の売値は、千円から3万円程度でしょうか。デパートにとっては不良在庫処分の嬉しい季節、売り手と買い手の思惑も絡みながら実に騒々しい正月商戦の始まりです。
  知人が買って来た『福袋の中』を見たら、サイズや柄が合いそうもないセーターと、一昔前に流行ったようなスカーフや靴が入っているのに、本人は、『姪に上げれば喜ばれる』と損した気分は全くない。
  ま、ストレス解消も含む正月のお祭り気分の散財であり、『何が入っているか!?』の興味のほうが主であって、『損得勘定』をする人達にはうかがい知れないお正月の行事のようです。
ウレタン・コート
  春先に、クリーニングでトラブル続出のウレタン系のコートをお客さんがお持ちになりました。ウレタンは保温は優秀ですが、洗うと事故多発の誠に始末の悪い素材で同業者の悩みの種となっています。
  そのウレタン素材のコートを、工場でラベルに書いてある指示通りにクリーニングをしたのですが、表面のビニールが所々剥げて着用できず、弁償についてお客さんとご相談のケースとなりました。
  そして、「いつ頃、どちらで、お幾らでお買いになりましたか?」と聞くと、「値段は、8万円ほどでデパートで買ったが、店の名は言えない」と難問になっていきます。
  それでも、粘り強く交渉すると、「正月にデパートで売り出した『福袋』の中に入っていた品物だから、正式な値段は分からない」と教えてくれたのです。
  ですから、早速、デパートと交渉が始まったのですが、ウレタンコートの仕入先はチョー有名な○○忠商事であり、今度はその商社との交渉となりました。
  そして、驚くべきことが発覚したのです。それは、『福袋』の中身には売れ残りとキズ物の商品が多いのは常識ですが、何と、今回のコートは、『福袋用の品物を中国で大量に作っている』のが実情だったのです。
  そして、そして、お客さんが『8万円ほど・・』とおっしゃられた品物の原価は、たったの4900円だったのですから呆れた話しじゃ〜ありませんか。
  お客さんにしてみれば、都心の有名デパートで手に入れた福袋だから、『良い品物を安く提供してくれているはず!。このコートも、8万円程度かしら!?』と自分で勝手に高く値踏みをしていたのです。
  今回の事件の福袋の中身は、コートが主役で他の品物はゴミのような物だったでしょうから、数点入れても原価は1万円未満であり、『3万円』で売ったデパートの正月商戦の粗利はかなり大きいようです。
  粗利が多い割には、倒産したり縮小のデパートも多いようで、粗悪品を入れて売る福袋と同様に、デパートの中身もろくなことになっていないのでしょうかねぇ。
心  配
  福袋の季節到来で、すでにデパートは『お目出度いお客さん目当てに準備万全』でしょうから、間違いなく来年も同様なトラブルが多発する事でしょう。
  まして、来年の巳年にちなんで『蛇皮』などを使われたら洗う事も出来ない!。と考えたが、『そうだ、蛇は土の中や水中でも平気なほど丈夫な生き物の皮だから、もしかすると洗えるかも!?』とも思う。
  問題は、蛇皮の加工状態と裏地や芯地の材質や縫製の良し悪しも関係して、事は簡単でなく、輸入物のキズや染めムラなどを一時的に誤魔化す『修整屋』という職業が大繁盛しているそうですから、着用して洗えば『誤魔化し部分』が浮き出てトラブル発生となること間違いなく、心配の種は尽きません。
  今回の愛論百科が、『福袋マニア』のご参考になれば幸せですが、『そういうトラブルは、夢の無い人と運が悪い人がなるのよねぇ』と鼻で笑われそうで、私の出る幕ではないのかも知れませんが。
ウレタンが
  売れたんですが
      事故多発


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