大好きのカタチ




 「 ねぇ、アスラン 」

 「んー?」

 「 呼んでみただけ 」

 「 何だよそれ 」

 「 だって、暇なんだもん 」


ぷくっと頬を膨らませて膝に抱えていたクッションをぎゅっと抱きしめているキラにアスランは盛大な溜息を吐く。
うららかな昼下がりの午後。お互いに予定という予定がない久しぶりの休みだった。ーが、お互いがそれに気付いたのは昼前。
そんな時間からだとそこまでの遠出が出来るはずもなく、かといって近場で買い物って気分でもなかった。
結果、取り合えずリビングでテレビを見たり雑誌を見たりと思い思いの時間を過しているのだがー


 「 だから、どこかに行くかって言ってるのにキラが嫌っていったんだろ?」

 「 だって…折角アスランと一日休みが一緒になったのに、近場で済ますなんて勿体無い 」

 「 でも、仕方ないじゃないかお互いに気付かなかったんだから 」

 「 むー 」

先程からこのやり取りの繰り返し。かれこれ一時間近くやっている。

 ( まったく…強情なんだからキラは )

アスランに構っては欲しいけど、キラにも何か譲れないものがあるらしく尽くアスランの提案を却下する。
キラは普段、こんな風に我侭を言ったりする事は殆ど無い。
こんな風になるキラはアスランとしてはとても新鮮でそれになによりそれだけアスランとの休日を大切に思っていてくれる事が嬉しくもあった。
だから、キラの望むままにしてあげたいのだけれど、そのキラの望むカタチの休日が分からないのだ。



 「 キラ 」

 「 ……… 」

 「 キーラ 」

 「 ……… 」

ムスッと眉間に皺を寄せて不貞腐れているキラはアスランの呼びかけに答えない。
しかし、その身体はアスランに背を向けているものの彼の傍を離れる訳ではなく寧ろ背中はぴったりとアスランに寄り添っていた。
まるで小さな子供が拗ねているみたいなそんな仕草が可愛らしくて自然にアスランの口元が綻ぶ。

 「 …何、笑ってんのさ… 」

 「 いや、何でもないよ 」

くすくす笑いながらキラの身体を後ろから優しく抱きしめる。

 「 アスランのばか 」

 「 何で?」

 「 何ででもっ 」

 「 はいはい 」

どんな理不尽な言葉も、顔を真っ赤にしている今のキラに言われれば全てが愛しく思えてしまう。



と、突然アスランに抱きしめられるままだったキラが自分からも彼に持たれかかる。
すると、その瞬間ふわっと優しい香りがアスランに届く。


 「 罰として今日アスランは僕の枕決定 」

 「 罰って何の?」

 「 今日休みだって僕に教えてくれなかった罰 」


自分の事は完全に棚上げ状態で理不尽極まりない事を言っているキラにアスランは優しく微笑む。

 「 了解 」

そう言ってキラの柔らかな髪にキスをひとつ落とす。
どんな理不尽な我侭もキラだから許せると思ってしまう、こんなひと時を幸せと思ってしまう自分がいるのだから。



暫くするとキラから規則正しい寝息が零れ出す。
そしてアスランもキラの優しい香りに包まれ心地良さにゆっくり瞳を閉じた。



 ( なんで、こんなにいい匂いがするんだろう )




ぼんやりと頭で考えながら、アスランは心地良い眠りの世界に身を委ねた。






   
大好きな人、大好きな場所、大好きな物

       それぞれの幸せのカタチ

    好きのキモチはそれだけで最大級の愛の呪文




   ◆あとがき◆

はい。何が書きたかったんだ自分ってのが正直な感想です。最初書こうとしてたモノから大幅に違うような…
どこから脱線したんだろう?(笑)お題の台詞無理やり入れたっぽいし…(実際そう)
たまには我侭なキラさんですvvvそしてそれに幸せを感じていいるアスランさんです(笑)
好きって気持ちは恋している相手から伝わってくると幸せを感じると思うんです。
その伝え方は人それぞれで、言葉だったり態度だったりで。
アスランも不器用ながらも伝わってくるキラの好きの気持ちに幸せを噛み締めていると思うのです。
アスランの好きは誰から見ても分かりやす過ぎるモノですがキラは鈍いので中々気付いてもらえず可哀想に(大笑)