シーズン・シーズン





 「 はーっくしゅん!!」




麗らかな春の日。日差しも暖かな休日の午後。
アスランとキラがのんびりと過す部屋に盛大なくしゃみが響いた。

 「 うーーーー 」
 「 キラ、風邪でも引いたのか?」

鼻をぐすぐす擦りながら唸っているキラにソファーで雑誌を読んでいたアスランが心配そうに目を遣る。

 「 違うよー多分、花粉症かなー 」

未だに鼻をむず痒そうに擦りながらそう答える。

確かに、今は花粉の時期である。
花粉症は突然になるものだと言うし、キラが花粉症になっても不思議ではない。
しかし、今年は花粉の量も少ないと何かのテレビでも言っていた気がするし
キラが花粉症って言う感じではないと勝手な偏見だがアスランは思っていた。

 「 キラ、他に何か症状は出てないの?」
 「 え?あ、うーんと、今のところは何もない…かな?」

兎にも角にもキラが花粉症になってないとアスランにも100%言いきれはしないので、
取りあえず他の症状がないか聞いてみたアスランだが今聞いてみた限りくしゃみの他には何もないらしい。
そうなるとアスランが心配していた風邪説も上がってくる訳で。
今は花粉の時期でもあるが、季節の変わり目でもある。
暖かい日もあればまだまだ寒い日もある。そんな気温差が激しいこの季節は体調を崩しやすい時期でもある。
元々のキラはそんなに体が弱い訳ではない。
しかし、季節の変わり目等には熱を出したりすることが間々あった。
故にアスランの心配も現実味を帯びてくる。

 「 花粉症なら目の痒みとか他の症状も出で来ると思うんだけど?」
 「 うーん… 」
 「 じゃあ、キラ。体のどこかが痛いとか、ぼーっとしているとかそういうのは?」
 「 え?」

風邪の可能性もある以上そちらの可能性も疑ってみないといけない。
そう思ったアスランはキラに再び質問をかけてみる。
キラは一瞬不思議そうな顔をした後アスランの質問の意図が分かったようでばつの悪そうな顔をして目を反らす。

 「 キーラ 」
 「 ……… 」

押し黙ってしまったキラにアスランはふっと苦笑を漏らす。
その表情はひどく優しいものでキラの前限定の顔の一つだった。

 「 まったく…お前は昔から嘘が下手だな… 」
 「 だって…アスランに知られると大袈裟にするんだもん… 」
 「 だからって無理して酷くなったら大変だろ?」
 「 でも……… 」

『アスランに心配をかけたくなかった』と俯いて小さく呟くキラの姿はとても保護欲をそそられ可愛らしいものだった。
確かにキラが体調を崩していると分かればアスランはずっとキラの世話を焼くだろう。
しかしそれはアスランが好きでやっている事であってアスラン自身、苦でもなんでもない。

 「 キラが苦しむ姿を見る方が辛いよ?俺は 」
 「 アスラン… 」

優しい微笑みを浮かべてサラサラの亜麻色の髪を片手で梳きながらそのすべやかな頬にもう片方の手を添える。
誘われるようにキラが見上げるとゆっくりとアスランの顔が近づいてきて…そして、そっと額に口付けた。

 「 !!!! 」

驚いたキラは慌ててアスランから距離をとり真っ赤になりながらキスされた額を手で押さえていた。
アスランはそんなキラににっこりと微笑みを向けて、

 「 風邪が早く良くなるおまじないv 」

してやったりと言った悪戯っぽい笑顔するアスランにキラは呆気にとられていた。





 「 //////////ばか。 」



赤い顔をそのままにしてやっとキラの口から出たのがこの言葉だった。











翌日。
やはり無理が祟ったのか発熱したキラがその後三日間寝込んでしまったり
それがアスランのせいだとキラに八つ当たりされたり、
三日後治った後のアスランの過保護っぷりがいつもの三割増ななったとかはまた、別のお話。 




 ◆あとがき◆
はい。やっとお題の小説に取り掛かる事ができました。
この小説の二人は恋人になりたてくらいの設定です。うちでは一番カップルとして進展している二人ですね。
書いてて少し恥ずかしいです(笑)
キラって花粉症にならなさそうですよね?どっちかって言うとアスランの方が花粉症になりそう…
でもアスランが鼻水ダラダラとか目が充血しているとかっていくらなんでもイメージ崩れすぎカナ?と思いまして。
と、言う訳でキラが花粉症と偽り実は風邪だったっという良く分からない話になってしまいました。
ちなみに、はるかは花粉症ではないので症状とかどんなに辛いとかは正直分かっていません(汗)
ですので、その辺りの突っ込みはご勘弁を…