「ん?」
キラをソファーに寝かしアスランが離れようとするとキラがアスランの服の袖をしっかり握っていた。
何度か離そうと試みたがかなり強く握っているので無理に離そうとすればキラを起こしてしまいかねないので
アスランは諦めてキラの傍らでキラの寝顔を眺める。
そして気付く、キラの今は閉じられている瞳に涙がうっすら溜まっている事に。
「キラ…何で泣いて…」
アスランが手を延ばしキラの涙を拭うとキラが身動ぎした。
「…ん…」
不味いと思ったが時既に遅し。キラの瞼がゆっくりと開きアスランを見つめる。
「ア…スラン…?」
「キラ、おはよう」
「え?あ、うん、おはようアスラン」
「とは言っても、もうおはようの時間ではないけど」
徐々に頭は覚醒していくが今だ状況が飲み込めてない様にぱちくりしている。
「えーっと・・・何で?」
(何でソファーで寝てるんだろう僕。先刻のはみんな夢??)
キラは自分がソファーに寝ている事に対しての疑問だったのだがアスランは違う解釈をした様だった。
「何から話せばいいのかなー取りあえず俺が帰ってきたらキラが居なくて」
「それで探してたらお前洗濯物に埋もれてて、しかもその中で寝てるから」
「!!」
(やっぱり夢じゃない…じゃあ、ここまで運んでくれたのもアスランかな…?)
再び、眠ってしまった自分を運んでくれた何気ない優しさにキラは嬉しさが込み上げてきて微笑む。
「キラ?」
(ーって、さっきアスランに甘えてばかりじゃいけないって反省したばかりなのに…駄目だな僕)
「キーラ」
「っうわあっ!!」
一人で百面相をして声をかけても返事のないキラの顔をアスランが覗きこんだのだが、
意識が別のトコロに行っていたキラは突然、自分の前にあったアスランの顔に驚き後ろに数歩さがった。
「大丈夫か、キラ?どうかしたのか?」
「ううん、なんでもない」
咄嗟に笑って答えるが、どこかぎこちない様子のキラにアスランは複雑な気持ちで見つめていた。
(なんでも話してくれればいいのに)
キラの事なら全て知りたい、そんな事は無理だとは分かっているけれど。
でもキラが苦しいなら、悲しいなら一緒に背負ってあげたいし、
楽しい事や嬉しい事なら一緒に分かち合いたいと思ってしまう。
それは、好きになってしまった者の性としか言いようがない。
「それより今日約束してたのにごめんね、僕が寝ちゃってたから出かけられなかったんでしょ?」
(やぱり考え過ぎじゃなかったか…)
アスランの考えていた通りキラは今日の事に対して責任を感じているようだった。
しゅんと今にも泣き出しそうな顔をされてアスランは優しくキラの頭を撫でた。
「キラのせいじゃないよ、確かにキラと出掛けるのは楽しみにしてたけどそれはキラと一緒に何かしたいと思ったからだし」
子供扱いするなって怒るかと思ったがキラは大人しくアスランに撫でられていた。
「だから、キラと一緒ならゆっくりと昼寝をするのもいいかなってそう思ったんだ。」
「アスラン…」
「それにキラと出掛ける事はまた出来るけど、一緒に昼寝なんて今回みたいな事でもない限り中々ないだろ?」
「ある意味貴重だよな」と冗談ぽく笑うアスランにキラもつられて微かに笑う。
「じゃあ、今日の夕飯は僕が作ってあげる」
突然のキラの提案にアスランが驚いて声をあげる。
「え、キラが?」
「何だよーこれでもちょっとは上達したんだよ、アスランにはまだ敵わないけど」
頬をぷーっと膨らませて恨めしそうにアスランを睨む。
「ごめん、ごめんキラが急に夕飯作るなんて言うから驚いたんだよ」
「もー!!また子供扱いして!!」
クスクス笑いながらキラの頭をポンポンと叩いて誤るアスランにキラは更に頬を膨らます。
「ほら、もうそんな顔してないで。キラが夕飯作ってくれるんだろ?」
「うー。。。」
「キラが何作ってくれるか楽しみだなー」
「…ホントにそう思ってる?」
「ああ、本当に思ってるよ。だから、ね」
にっこりとアスランが微笑むとキラはすくっと立ち上がる。
「何だか上手く誤魔化された気もするけど、今日は僕が寝ちゃったお詫びもあるし許してあげる」
憎まれ口を叩きながらキッチンに向かう為歩き出す。
「キラ」
「何?アスラン」
足を止めてくるっと振り返るキラ。
その表情は先刻の寝顔の涙もなく、いつものキラの笑顔。
「アスラン?」
「いや、何でもない」
「もう、変なアスラン」
再びキッチンに向かい始めるキラの後姿をアスランは真剣な顔つきで見つめる。
(いつかキラの全部を俺が受け止めるから…キラが安心して頼れる人間になるから)
キラもまた、キッチンで夕食の支度をしながらリビングにいるアスランを想っていた。
(いつか僕がアスランに面倒をかけなくなったら…そうしたらアスランの傍いても迷惑じゃないかな…)
お互いがお互いの事を想っているのに届かない気持ち。
二人の気持ちが通じる様になるのはもう少し先のお話。。。
それは曖昧なモノ、それでも大切なモノ。
それは不確かなモノ、でも守られるモノ。
『いつか』は自分次第で『今』になる。
◆あとがき◆
はい。うたたね姫その後話ラストです。初めは、短編の只のイチャラブにするつもりだったのに
知らない間に暗くなってしまったので最後は明るくしようと書いていたのですが意味が分からないモノが
出来上がってしまいました。自分の文才の無さに悲しくなります。。。
うちの二人はすれ違いまくりです。キラも鈍いですが、アスランもかなりな感じで鈍いですよね、、、
ここまでお付き合い下さった方、お疲れ様でした★ありがとうございました!!