自分が自分らしくいられる空気。そんな居場所。
暫くしてアスランは目を覚ました。どうやら自分はあのまま眠ってしまったらしい。
外を見ると大分、日が西に傾いていた。やはり今日の外出は諦めた方がいいだろう。
まあ、既に今日はキラと家でゆっくりしようと決めていたからそれはいいのだが、
キラはどう思うだろう?自分のせいでとか思ったりしないだろうか?
「いくらキラでもそこまでは考え過ぎか…」
そう結論付けたアスランだが、のちに自分の考えの甘さに後悔する事になろうとはこの時のアスランには分かる筈もなかった。
「それにしても…」
キラを抱きしめている。それが今のアスランの状態。
別にアスランからキラを抱きしめたのではない。キラが寝惚けて倒れこんできたのだ。
その後、体勢を変えて抱き込んだのはアスランなのだけれども。
「…この状態はキラが起きた時に不味い…よな」
そうキラは自分の事を幼馴染の親友としか思っていない。少なからずとも好意はあるのは分かるがそれは友情の域を脱してはいないと思う。
だからいくら親友でもアスランに抱きしめられていると言う状態はキラに戸惑いを与えるだろう。
「…キラ…」
キラとの今の関係を崩したくなくて今の現状に甘んじているのは自分。
自分の想いを伝えればキラを困らせてしまうと自分自身に言い聞かせて。
想いを伝えきれないのは他でもない自分の弱さのせいなのに。
拒絶されるのが怖くて今の様に一緒に居られなくなることが怖くて、でも気持ちは大きくなるばかりで。
だからキラが困るからと自分自身を正当化する理由を付けて誤魔化している。
「…格好悪いよな…」
キラの体を抱きしめながら己の不甲斐なさに嫌気がさしてくる。
(キラはいつまで俺と一緒にいてくれるのかな…)
何時か離れる日はやってくるのだから、キラの隣には自分ではない誰かがいる。
そんな時が遠くない未来に必ず来ると。
でも今は、今この瞬間キラは自分の隣にいる。その温かさは自分の傍にあるのだから。
(…どうか、もう少しだけ猶予が欲しい…もう少しだけ…)
アスランはキラを抱え直しソファーに寝かせるべく立ち上がった。
◆あとがき◆
はい。うたたね姫その後。アスラン視点です。文章力がないのも相変わらずですが…短いですね。
もう少しだけ続きます、この話。次で終わらせる予定です。
次は二人の会話します(笑)第三者から見るとこの二人完全に両想いなんですけどね。
お互いに気づかないのがうちのアスランとキラなんです!!悪しからず(大笑)