いつも当たり前のモノが当たり前にある幸せ。
(…これは一体どう言う状態なんだろう?…)
今、自分の置かれている状態について彼、キラ・ヤマトは困惑していた。
置かれている状態と言うのはキラが彼の幼馴染兼親友兼同居人のアスラン・ザラに抱きしめられて眠っていたと言う状況だ。
(ーってかアスランいつの間に帰って来たのかな?)
アスランにがっちりと捕まっている為、殆ど身動きが取れないキラは取りあえず何故こんな事になっているか考えてみる。
(えーっと確か今日はアスランと出掛ける約束してたから、早めに家の事を終わらせようと思っててー)
そう、今日は久しぶりにアスランが一緒に出掛けようと言ってくれた約束の日。
最近、かなりな感じで多忙なアスランが自分の事を気にかけて誘ってくれたのだ。
だから、キラもその日はアスランとゆっくり過せる様に朝からパタパタと家事に追われていたのだ。
(ーそれで最後に洗濯物を取り込んでて…っあ、つまずいて転んだんだった。)
(で、そのまま洗濯物に埋もれちゃって…なんか気持ちよくってー…そこから記憶がない…)
多分、そのまま寝てしまってその後にアスランが帰ってきて見つけてくれたんだなーとキラは推理しがっくりと肩を落とした。
(せっかくアスランが誘ってくれたのに…)
自分が寝てしまっていたせいでせっかくのアスランの気遣いを台無しにしてしまった。
思えばいつも自分はアスランに助けてもらってばかりだ。
アスランは何時でもどんな時でも優しくて自分もそれに甘えてしまって。
何時までもそんな事では駄目だとは分かっている。
でもどうしてもアスランの優しさが温かくて心地よくて。だから、アスランが辛い時は何時でも力になりたい
弱い自分では力になれないかもしれないけれど。キラはそう思っていた。
「…アスラン…」
キラは不甲斐ない自分を情けなく思い泣きたい気持ちになった。
アスランは自分がいなくてもなんでもできる。でも、自分は?いつもアスランに助けてもらってぱからいる自分は?
いつかアスランが自分から離れた時にどうするのだろうか?
「…僕は。。。」
そう、いつまでもこのまま一緒にはいられない。いくら親友でも幼馴染でもずっとはいられないのだ。
「…っ、最低だ…僕…」
いつか離れ離れにならなければいけない。そう思った時キラは思ってしまった『離れたくない』と。
そこまで自分がアスランに依存していたなんて。
キラは自分が情けなくて苦笑した。
アスランを束縛する権利なんで自分には有りはしないのに。
「…でも…今だけは…」
(この優しさの中にいたい、もう少しだけこのまま君の傍に居させてください。)
アスランの温もりを感じながらキラは再び瞼を閉じた。
★あとがき★
はい。また書いてしまいました。うたたね姫のその後です。この話、もう少し続きます。
キラ、暗いです。。。ここまでアスランの事を想っているのにキラ本人は自分の気持ちにちっとも気づいていません。
アスランも苦労しますね(笑)