Southern sky

南天の星座を中心とした星野写真のページ

 Sub Index

星野ページ トップ / Return to Sky portrait Top

Return to Home


南天へのあこがれ 1970〜1983

冬の星座「とも座」から夏の星座「さそり座」の間、はるか南の地面の下に見えている天の川を見てみたい。
大小マゼラン星雲を見たい! 南天の星座を見たい!この思いは十代前半に読んだ村上忠敬著「星座物語」(昭和44年第二版)以来抱いていた。
カラー写真が豊富な今の天文書とは違う、文章と白黒イラストだけの本から南天への強い憧れを持った。
筆者は戦前の台湾で見た南十字座の思い出を書かれていた。まだ外国へ容易には行けなかったため、戦時中南方で見た星の思い出話が書かれている天文書もあった。 南半球へ行った人が固定撮影で写した写真を本で見た時は、今時の惑星探査機からの画像を見るように未知の写真を見ていた。 インターネットの無い時代、短波ラジオでオーストラリア日本語放送を聴き、情報の収集をしていた。
遠征前は大阪の四ツ橋にあったプラネタリウムで南天観察のトレーニングをした。

遠征機材による写りの比較
南天撮影の遠征へ持参する機材、感光材による写り方を「みなみじゅうじ座」周辺の星野で紹介。

デジタル一眼(DSLR)による撮影

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX *istDS FA35mm/F2.0 絞りF2.8
露出:UV=100sec. R64=200sec. DIF2=100sec

乳剤のように焦点像が滲まないため同一レンズで写したフィルムカメラより星像は小さいのは良いが、 滲まないために輝星の周囲に紫の滲みが目立つ。それを隠すためソフトフィルターにより輝星を滲ました画像を重ねる。
天体用に改造していないDSLRで赤い星雲の写りを良くするため濃赤フィルターで写した画像を赤画像に加算。 星座線を記入して星座が判りやすくした。
1ショットで済めばフィルムでの撮影の1/9で済むが、3ショット+ノイズリダクションの時間を合わせるとフィルム時代と変わらない撮影時間を費やしている。
カメラ、撮影方法共に改善の余地あり。

横800pix 画像の表示 / large picture (200kB)


リバーサルフィルムによる撮影

2003年4月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX FA35mm/F2.0 絞りF3.4
Kodak E200 15分露出

上のDSLRと同じ画角の部分を同一拡大率で掲載。


ネガフィルムによる撮影

1999年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX M50mm/F1.7 絞りF2.8
Fuji G400ACE 15分露出

上のDSLRによる画像を見慣れると、6x4.5セミ版カメラで写したほどの画質に感じられる。


モノクロフィルムによる撮影

1986年3月オーストラリア N.S.W.州にて撮影
自作6x7版カメラ Nikkor M105mm/F3.5 開放
Kodak Tri-X 16分露出

小さな表示では微光星が消えている。
赤の感度が低いTri-XフィルムのためγCru(4つで十字架を表わす上の星)が小さく写っている。

横800pix 画像の表示 / large picture (150kB)
(2006年4月 記)


GOTO Top

 

りゅうこつ座η星雲付近

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX istDS FA*85mm/F1.4 絞りF2.8
UVフィルターによる画像にR64フィルターによる赤画像を加算処理。

散開星団、散光星雲、暗黒星雲が多数写っている。

横800pix 画像の表示 / large picture (250kB)

エータ・カリーナ星雲,NGC3532

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX istDS A*200mm/F2.8
UVフィルターによる画像にR64フィルターによる赤画像を加算処理。

りゅうこつ座η星雲(Eta Carina nebula)=Caldwell 92はオリオン座M42星雲と同じく写真写りが大変良い。 M42は、ほぼ世界中で見られるのに対し、η星雲はカノープスが良く見える南の国に限られる。 地球からの距離はM42より遠いのに、見かけの大きさはM42の2倍余り、明るい部分だけでも月の直径の2倍は見えている。
η星雲の東(画面左上)の散開星団NGC3532=Caldwell 91はη星雲と同じく肉眼で確認できる。
1830年代に南アフリカで観測したJohn Herschelは「かつて見た中で最美の星の集団」と述べている。 7等台の粒のそろった星の集団は双眼鏡で大変美しく見える。 全天屈指の見る楽しさ、写す楽しさのある星域です。

横800pix 画像の表示 / large picture (230kB)

エータ・カリーナ星雲の見かけの大きさ比較のため同一縮尺の月を掲載


C97,C100付近

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX istDS A*200mm/F2.8
UVフィルターによる画像にR64フィルターによる赤画像を加算処理。

Caldwell 97=NGC3766散開星団を中心としたケンタウルス座、りゅうこつ座の境界付近を撮影。 中央下のC100を取り巻く散光星雲はBat NebulaまたはRunning Chicken Nebulaとよばれている。

横800pix 画像の表示 / large picture (220kB)

みなみじゅうじ座とポインター

2003年4月ニュージーランド南島にて撮影
撮影データは大画像参照
ケンタウルス座α、βを結ぶ線(pointer)を延ばした所に みなみじゅうじ座がある。
ポインターのチェックで みなみじゅうじ座と似た星の配列「にせ十字」との区別ができる。
中央右下にコールサックと呼ばれる大きな暗黒星雲が写っている。肉眼で眺めると天の川に穴が開いているように見える。
コールサック左の天の川がオレンジ色なのは淡く大きな散光星雲と天の川が重なってるため。

横800pix 画像の表示 / large picture (160kB)

エリダヌス座南端まで

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX ME-super、シグマ28mm 絞りF3.4
フジPROVIA400F 露出10分
くじら座〜おうし座の南にあるエリダヌス座を写すには3月は遅過ぎる。
しかしアケルナル(αEri)は天の南極の下を通過後でNZでは星座南端部は一年中見ることができる。 画面右方向が北。画面右下に真っ暗な南西の地平線が一部写っている。画面左端に「かじき座」大マゼラン星雲が半分写っている。
日本から写したエリダヌス座は冬の星座ページ参照。

横800pix 画像の表示 / large picture (113kB)

大マゼラン星雲(1)

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX istDS, FA*85mm/F2.8
UVフィルターによる画像にR64フィルターによる赤画像を加算処理。

葉巻状に見える中央の明るい部分は天の川の見える夜空なら肉眼で確認でき、望遠レンズではカメラのファインダーで、なんとか確認できる。
葉巻上の北側、タランチュラ星雲のある側に淡く写る領域が南側より広がっていて、大マゼラン星雲内の散光星雲が多く確認できる。 肉眼で見える部分をファインダーの中央部に構図を取ると北側の淡い部分が写野からはみ出るおそれあり。


大マゼラン星雲(2)

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX istDS, A*200mm/F2.8
UVフィルターによる画像にR64フィルターによる赤画像を加算処理。

冷たい南風が吹いて撮影時の気温は零度まで冷え込み、R64フィルターに結露したため散光星雲の赤色露光が不十分になり、 タランチュラ星雲が白っぽく写っている。タランチュラ星雲はHU領域の散光星雲に分類されているが、 赤いHα光はあまり出ていないのか?デジタル一眼にUVフィルターでの普通画像でタランチュラ星雲はシアン色に写っている。

日本から南天を撮影に訪れる人々は日本の春休みとゴールデンウイークに集中する。 みなみじゅうじ座を中心とした南天を見るには4〜5月が最も良い。 しかし大小マゼラン星雲は日本で秋から冬の星座が南中する時が見ごろで南十時が天高く子午線通過時に天の南極の下を通過している。 中緯度のオーストラリアでは高度が低過ぎるか没していて撮影に適さない。
大マゼラン星雲は青っぽく写り、天の川中心がオレンジ色に写るのと好対照である。 タランチュラ星雲はあまり赤く写らないということが今回の撮影でわかった。 (2006年9月 記)
横640pix 画像の表示 / large picture (70kB)


ほ座〜おおかみ座付近の天の川

2006年3月ニュージーランド南島にて撮影
PENTAX istDS、シグマ28mm 絞りF2.8 3コマをつなぎパノラマ化

現地時刻21時頃、西の地平には水平より下向きに傾いた「オリオン座」、東の地平には昇ったばかりの「さそり座」。 天の川は、巨大な観覧車を真下から見上げるように、西から東までつながって見えていた。

横960pix 画像の表示 / large picture (140kB)

最もリッチな星空

上に記した天の川が見やすい三月下旬から四月上旬、オリオン座が西に傾き、さそり座が昇った頃、 地球上の南緯40度付近で見る夜空には一等星が15個確認できる。 21ある全天の一等星の七割を一度に見ることができ、おそらく最もリッチな星空だと思う。
見ることができる一等星を赤経順に記す。(2006年12月 記)
αEri ,βOri ,αOri ,αCar ,αCMa ,αCMi ,βGem ,αLeo ,αCru ,βCru ,αVir ,βCen ,αBoo ,αCen ,αSco
一等星に近い二等星として、
γOri ,αGem ,εCMa ,γCru ...などが見られる。

注:
αEri は下方通過中のため低緯度では地平以下で見えないがNZ南島では大気の揺らぎと分散で七色に瞬いて見えていた。
αCenは0等と1等星の二重星だが肉眼では分離できないので1つに数えている。
少し早い時間にはαAur、αTauが見えているがαBoo、αScoが見えない。または見えにくい。



Bali island 1983

南半球で見る北斗七星

南緯8度 インドネシア バリ島で写した北斗七星。
ひしゃくが垂直になる前にα−β星は地平に没する。
Pentax SPU , 55mm , トライX(白黒フィルム), 1983年6月 サヌール・ビーチで撮影。
21世紀になり、バリ島の街灯も明るくなって北斗七星は見えにくくなっていると思う。

縦960pix 全景画像の表示 / large picture (120kB)

南十字

南緯8度 インドネシア バリ島でヤシの木の上に見える南十字。
南十字が最も印象的に見える高さだと思う。
Pentax SPU , 55mm , トライX , 1983年6月 サヌール・ビーチで撮影。

縦960pix 全景画像の表示 / large picture (136kB)

おおかみ座、ケンタウルス座

デジタル化時に、おおかみ座(左側)とケンタウルス座(右側)を写した画像をつないだ。 インドネシア バリ島の海岸でミザールAR-1赤道儀手動ガイド。
Pentax SPU , 55mm , トライX , 1983年6月 撮影。

横1000pix 全景画像の表示 / large picture (335kB)

GOTO Top

 

1986年ハレー彗星

1986年4月オーストラリアN.S.W.州にて撮影
自作6x7版カメラ、Nikkor M105mm/F3.5 Tri-X AR-1赤道儀
さそり座、じょうぎ座の境界付近を通過中。 最も地球に近づいた時撮影に行ったが、バックがにぎやかで彗星の尾が目立たなくなった。
日々彗星が地平から昇って来る光景は感激だった。

長辺960pix 画像の表示 / large picture (214kB)


South Celestial Pole

みなみじゅうじ座から南極

南極付近の星座を記入。
小マゼラン星雲が、みなみじゅうじ座と南極を中心に対称の位置にあることが判る。

長辺800pix 画像の表示 / large picture (170kB)

SMCから南極

SMC(小マゼラン星雲)から南極までの案内図
PENTAX istDS, FA35mm 絞りF2.8 ニュージーランド南島にて2006年3月

南極の位置を肉眼で探す方法は色々な天文書に書かれているが、赤道儀の極軸合わせに私は、SMCからたどるルートを使っている。
双眼鏡でSMCを起点に「はちぶんぎ座」5等星の四星が作る台形を見つけ、ビクセンGP-D赤道儀の極軸望遠鏡レチクル内に四星を合わせる。
たくさん見える星の中から四星の台形を見つけられず、極軸合わせに1時間かかった時もあるが、慣れると薄明中に完了できることもある。
天の南極近くには明るい星が無いため南半球の都会では極軸合わせは難しい。星が良く見える所でも5等星を特定するのは難しい。

長辺800pix 画像の表示 / large picture (130kB)
緑の丸印付近が南極

大小マゼラン雲下方通過

PENTAX ME-super、シグマ28mm 絞りF2.8、Fuji PROVIA400F、露出3分
ニュージーランド南島にて2006年3月

針葉樹と天の南極の星景。画面右上二つの輝星はケンタウルス座α、β。
対極に位置する画面左下の輝星はエリダヌス座αアルケルナル。
大マゼランの左下赤い光跡はレチクル座との境界に位置するかじき座R星。

長辺640pix 画像の表示 / large picture (70kB)

GOTO Top