マダガスカル南部にあるベレンティ国立公園に向かう。ベレンティではマダガスカル固有の原猿を見ることができるという。楽しみだ。このあたりは乾燥地帯で、植生も明らかに異なる。
マダガスカル固有の植物ディディエレアだ。棒を束ねたように生えている。
何とも奇妙な風景だが、マダガスカルだと思うと妙に納得してしまう。
マダガスカルでは「バオバブ」の木が有名だが、ほかにもこうした他では見られない植物がいろいろあるというのは新しい発見であった。 近くで見るとサボテンのように棘だらけの植物だ。近くのレストランで、仲間たちとこれらの植物を植林している日本人ボランティアと知り合ったが、山焼きによってこうした植物が失われているといっていた。
道沿いの民家。我々の乗った車が近づくと興味深げに集まってきた。自然と共生しながら生きている子供たちの目には我々のことがどううつっているのだろうか。 夕方ベレンティ国立公園内にあるロッジに到着した。暗くなったら近くの森へ行くという。夜行性の動物が見られるらしい。一休みして、懐中電灯とカメラを持って森の中に入る。暗い森の樹の幹に小動物を発見。暗闇の中で二つの光るものが見える。「イタチキツネザル」だとガイドが教えてくれた。もちろんこの島固有の小さなキツネザルだ。 小枝には灰色をしたカメレオンがいた。
暗闇に目が慣れてくると夜に活動する動物たちが探せるようになってくる。
夕食を済ますと近くの広場で我々のために6年ぶりの「踊り」を披露してくれるという。満天の星空のもとで、広場中央で薪を燃やし、空高く燃え上がる炎のまわりで、男たちは槍をもち、女たちは赤い服をきて踊り始めた。笛とアコーデオンのようなものと太鼓の音が鳴り響くなかを勇壮な踊りが続く。「一緒に踊れ」という。恥ずかしさも忘れ見よう見まねで一緒に踊る。人種も性別も越えた不思議な一体感だ。自然と誰もが笑顔になる。彼らも久しぶりの踊りにマダガスカルの血が騒いだのかもしれない。暑く楽しい一夜であった。