本文は、内閣官房内閣広報室が公開している
「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集に寄せられた意見
の一部を引用するものである。
本文の出典は、次の Webページから参照可能である。
「知的財産推進計画2007 の策定」
アップルジャパン(株)
知的財産戦略本部
「知的財産推進計画2006」の見直しに関する意見募集への応募
P102
(4)私的使用複製について結論を得る
に関する意見
[結論]
科学的且つ客観的証拠に基づかない理由に依る私的録音録画補償金制度は即時撤廃すべきである
理由1
そもそも、著作物の私的複製により著作権者団体は常日頃、
文化庁審議会の場等で私的複製により権利侵害を被っている旨を主張しているが、
その論には科学的且つ客観的証拠は存在していない。
同一家庭内に置いて、
その一家族構成員が購入した著作物と全く同一の著作物を更に 2 枚 3 枚と購入する事は非現実的事象である。
当然の事ながら著作物を販売している音楽レーベルは事前に承知していると考えるのが自然であり弁証法的観点からも帰納的である。
即ち、黙示の承認があるのだから私的複製にから更に料金の徴収を図るのは二重課金にあたり著作権者の要求は不合理である。
米国では First Sale Doctrine の名の下、著作物は販売した時点で「売り切り」であるとの考えが定着し且つ国際標準となっている。
理由2
そもそも、仮に私的複製により権利侵害を被ったと主張するなら、
その全ての原因は複製防止技術を備えていない著作物パッケージを製造販売しているレーベルに有る。
自ら製造販売している製品の不備をハードウェア会社に対して責任転嫁するのは無責任且つ自己中心的な姿勢である。
よって、もし私的複製に依り権利侵害が行われているとの主張を継続するなら即時に複製防止措置の付いた著作物パッケージを製造販売すべきである。
理由3
2005年度に開催された私的録音録画補償金制度議論を行った文化庁審議会法制問題小委員会並びに 2006年度から開始した同庁私的録音録画小委員会にて両小委員である、
土肥一史氏 一橋大学教授、松田政行氏 青山学院大学教授/弁護士が頻繁に補償金制度存続の論理的根拠とする「国際基準」なるもので、WIPO、ベルヌ条約の基準が取り上げられるが、両名氏は事実誤認を繰り返している。
そもそも、WIPO に加盟している 184ヶ国の内、補償金制度を携帯機器に対して導入しているのは僅か 11ヶ国つまり、6% に過ぎない。
更に、ベルヌ条約批准 163ヶ国の内、僅か 7カ国つまり 4.3% しか iPod 等の携帯機器に課金していない。
依ってもし「国際基準」に日本が合致するのなら約95% の国がとっている「補償金制度廃止」が「国際基準」である。
法律家である両名氏が意図的に著作権者団体の意向にそった事実無根の詭弁を弄するのは真摯な著作権行政を審議すべき同場所で不適切であり、国家国民を愚弄する存在であると言わざるを得ない。
上記の事実を事前に承知しながら両名氏を同委員会委員に意図的に任命した文化庁著作権課の責任は重大でありその結果責任を取るべきである。
就中その中心的存在であった吉川晃前著作権課長、甲野正道現著作権課長の責任忌避は免れないと考える。
理由4
IFPI(国際レコード産業連盟)の 2007 年度 Digital Music Report に記載されて居る様に、
iPod ユーザーは一般ネットユーザーの 3 倍有料コンテンツサイトから毎月コンテンツを購入している。
また、同レポートで有料コンテンツサイトを理由する支持理由 50%で、
これが一番多い理由である。
即ち合法サイトでコンテンツ購入要因となっているのが携帯型ハードウェア機器であると明言している。
よって iPod 等のハードウェア機器がユーザーの違法コンテンツを流通させる P2P サイトへの流れを防止し有料サイト、
即ち iTunes Store 等へと導いていると、レコード産業連盟の総纏め役である IFPI(国際レコード産業連盟)が報告書で断言している。
よって日本レコード協会、日本芸能実演家団体協議会、日本音音楽作家団体協議会、
日本民間放送連盟が主張の拠り所にしている iPod 等のハードウェア機器が権利侵害の元凶であるとする意見は事実無根である所か事実は寧ろ iPod こそが有料かつ合法的なコンテンツ流通の最強の推進役となっている事実を認識すべきである。
自己撞着を生じさせている日本の著作権者団体は非を認め傲慢不遜な主張を即時停止すべきである。
著作権者団体の自己中心性こそが日本のコンテンツ流通を阻害し消費者の選択肢を狭小化させ、IT 業界の生産性を棄損している主要因である。
理由5
アップル社の iTunes を通して販売されている楽曲は累計 20億に及び昨年2006年度だけでも 12億曲を販売した。
一日の楽曲販売数は 500万曲に及ぶ。
音楽以外にも、音楽ビデオ、TV 番組、映画、オーディオブック、ゲーム、
ポッドキャストを販売している。
アップル社は世界最大のデジタルコンテンツ流通企業である。
iTunes からの売上から世界で最も著作権料を著作権者に納付している企業である。
アップル社こそが最もコンテンツ業界に貢献している企業の一つであると自負している。
今後は、著作権者、消費者、政府、機器メーカーが共に協力しコンテンツ業界の発展へと貢献出来る事を願う。
[総括]
文化庁著作権課に依る一方的な行政運営には理解不能である。
徒に著作権者団体の意見のみを汲取り消費者、機器メーカーの立場は無視し続けている。
アップル社を私的録音録画小委員会から閉め出し、
欠席裁判で物事も決める閉鎖的な体質を持つ文化庁の典型的な隠蔽体質を良く表している。
平成19年3月27日、文化審議会 著作権分科会私的録音録画小委員会にても多くの小委員会委員が補償金制度の必要性の根幹の議論提示をしたにも関わらず、
作為的に「私的録音録画問題に関する検討の進め方(案)」から削除するなど鼻から
「結論ありき」の審議会運営をする著作権事務局には真摯な姿勢は微塵も感じられず、
もはや公平公正な著作権行政を運営する適切な省庁とは言い難く、
速やかに著作権行政を他の省庁に移管することを強く望む。
以上