隠しページその2?D300+高倍率ズームを検証する〜


D300+純正18−200ズームの組み合わせ。僅か3ヶ月余りのコンビになろうとは…トホホ

愛機をD300に持ち替え、満足いく撮影をしていた作者でしたが、
先日ふとした自身の不注意から純正の18−200ズームレンズを派手に壊してしまいました。
メーカーの修理見積もりが「新品がもう1回買えちゃう」額となってしまい、
やむなく廃車の憂き目に…。
もう一度同じレンズを買い直す、あるいはこれを機により高性能ダマに買い換える、
というような「財務省」の状態ではなく(悲)、市内のお店を物色して廻った結果、
タムロン18−250を新たな相棒として迎えました。
UVフィルターを付けて約27000円で購入(安く買えて良かった…)。

鉄道撮影に限らず、最近はデジタル一眼+高倍率ズームの組み合わせは
定番の一つとなっています。
撮影行に「機動力」を大きく要求する作者はズームレンズ崇拝派?ですが
必ず問われるのは「画質」の問題。
広角から望遠までこなせるユーティリティさと引き替えに「専門職」のレンズとは
解像度や明るさで決定的な差がある事も事実。商品に付いている値札は正直です。
とはいえ「便利」「求めやすい価格」の2大セールスポイントの魅力は大きく、
導入を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「実際、画質ってどうなんよ?!」との声にお応えし?この機会に
D300でニコン純正とタムロンの高倍率ズームを撮り比べてみました!

…せっかくD300持ってるんだからもっといいレンズ買いなさいよ…とは言わないで〜


広角から標準レンズ相当にあたるサンプルが無かったため、以下では鉄道撮影で多用されると思われる
「少し線路から離れた中望遠域」と「かぶりつき気味の望遠域」の2例でインプレを書いていきます。
〜あくまでも作者の所感によるものであることをお断りしておきます。〜

・スペック
まずは軽く両者のスペック比較を。

【ニコン純正】
AF-S DX VRズームニッコール ED18-200mm F3.5-5.6G(IF)
…以下(N)
メーカー希望小売価格:110,250円(税込)
【タムロン】
AF18-250mm F/3.5-6.3 Di II LD Aspherical [IF] Macro(ニコン)
…以下(T)
メーカー希望小売価格:78,750円(税込)

手ぶれ補正…(N)あり  (T)なし
フィルター径…(N)72ミリ (T)62ミリ
重量…(N)約560グラム (T)約450グラム
F値…(N)3.5-5.6   (T)3.5-6.3
    望遠域で1つ(T)が暗いですが、(T)で200ミリ相当だとF5.6で撮れる
    (200〜250になるとF6.3となる)ので、実際の使い勝手としてはあまり変わりません。
その他…(N)は超音波モーターによるAF作動


D300にさっそく装着。100グラムの違いは大きく、かなり軽く感じます。

ズーミングやピントリングの操作感に特に違和感はありません。

・検証1:小〜中望遠域の撮影
まずは純正の(N)を使って撮影したものです。
全体写真と、カマ番部分を等倍で切り取ったものを左上に貼り付けました。

撮影データ概要:2009年6月12日10時50分頃  1/800 F11 ISO400 焦点距離90(135ミリ相当) コンティニュアスAF

この作例は、機関車の顔がパンタ間の電柱付近に来てからコンティニュアスAFを作動させて
撮影しました。
フォーカスはバッチリ追従しており、解像度としてもこのレンズの能力はきっちり出ていると思います。
(逆に言うと、高倍率ズームの宿命でこれ以上は望めません)


次に(T)を使っての写真です。
まずはシングルAFで撮ってみました。

撮影データ概要:2009年7月4日12時25分頃  1/1000 F10 ISO400 焦点距離100(150ミリ相当) シングルサーボAF

撮影直後の手応えとしては、パッと見は変わらないように見えたのですが…
決定的な違いは「AFの速さ」。超音波モーター駆動で瞬間的に合焦する(N)に比べて、
モーターが一度(ウイ〜ン)と唸ってからAFする(T)は、僅かですが明らかに遅れを取ります。
その差がカマ番のピントの僅かなズレに現れています。

次はコンティニュアスAFで撮ったものです。

撮影データ概要:2009年7月4日12時5分頃  1/1250 F10 ISO400 焦点距離92(135ミリ相当) コンティニュアスAF

予想通り…(苦笑)純正のような素早いAF追従は望むべくもありません。
作例のように合焦が115系のスピードに付いていけず、後ピンになってしまいました。

やっぱり(T)のAFには頼らない方が良さそうです。
最後にMFで撮影した作例です。

撮影データ概要:2009年7月4日10時25分頃  1/1250 F10 ISO400 焦点距離92(135ミリ相当) マニュアルフォーカス

光線条件が良かった事もありますが、これは良く撮れています。
MF置きピンでしっかり1発切りすれば、純正(N)にも全く引けを取らない描写です。

最後に(N)と(T)の画像左端部分(列車のお尻付近)を等倍に拡大して比較してみます。

(N)で撮ったお尻(上のEF66−10貨物の写真)

(T)で撮ったお尻(上のEF66−122貨物の写真)

ここでの結論:
タムロンのAFは合焦が遅い。と言うよりニコン純正のAFが高性能過ぎ。
鉄道撮影の基本通り、MFでしっかり構図とピントを決めてから撮れば両者はほぼ互角。


検証2:中〜長望遠域の撮影
いわゆる「かぶりつき」直線で編成写真を正面気味にドカンと写す。
作者のあまり得意ではない(笑)撮り方にて(N)と(T)のレンズの違いを検証してみます。

まずは純正(N)から。

撮影データ概要:2009年5月31日9時55分頃  1/2000 F7.1 ISO400 焦点距離170(250ミリ相当) シングルサーボAF

AFも光線条件もほぼバッチリです。

次にタムロンです。上の(N)撮影時に比べ、少し薄雲が出ていました。

撮影データ概要:2009年7月3日10時40分頃  1/2000 F7.1 ISO400 焦点距離175(250ミリ相当) マニュアルフォーカス

カマ番部分を等倍にしたものです。
(N)
(T)

最後に、こちらも画面左端(編成のお尻)のボケ具合を拡大した画像です。
(N)
(T)

ここでの結論:
上の作例では両者に描写の差がかなりありますが、これは光線条件の違いによるものが大きいと思われ、
レンズ自体の能力としては正直変わらんな…と思いました。

但し、「手ぶれ補正が無い」「AFが遅い」のはタムロンの大きなハンデである事は認めざるを得ません。
このレンズの能力をしっかり引き出してやれるよう、早く癖を掴んで腕を磨いていかなきゃです。

・総評
人気の高倍率ズーム対決。両者は実売価格でも差がありますが…

【ニコン純正が優れている点】
・超音波モーターにより、殆ど動作音もなく一瞬で合焦するAFの速さは感動的ですらあり、
 AFや連射を多用する向きであれば、これだけの理由で文句無しにこちら。
・カメラとレンズが純正同士という相性やブランドイメージの良さ。
・レンズ内手ぶれ補正は大きなアドバンテージ。暗いところで手持ち撮影する時の安心感が違います。
 (もっとも、鉄道撮影に限っては高速シャッターが前提となるため、あまり関係無いかも知れませんが)
・ファインダー視野率がカタログスペック通り100%きっちり出る。
 望遠域で三脚を使って構図をカチッと決める為には重要な要素です(D300購入の大きな動機の一つだった)。

【タムロンが優れている点】
・僅か200−250域の違いではあれ、望遠側に余裕があるのは有り難い。
・純正に比べ軽量コンパクト。首にぶら下げて歩いてもバランスが良く(デローンと伸びたりしにくい)
 機動力アップ。
・価格が安い。行動力があっても軍資金が少ない作者のような貧乏鉄にはうってつけ。
 (既に後継の手ぶれ補正付き18−270が発売されていますが、実売価格はまだこなれていません)
・レンズそのものの描写力は純正と遜色ない。
・気に入らない点としては、ニコン純正の逆で視野率が100%出ない(ほんの僅かだがファインダーで
 見たものより大きく写る。視野率99%くらいか?)ギリギリガチガチの構図を作る際には
 試し撮りをして確認する必要があります。
 まぁ殆どのAPS−C(=DXフォーマット)タイプの一眼は視野率95%前後である事を思えばマシですが、
 D300の足を僅かながら引っ張ってしまいます。


ま、結局のところ高倍率ズームの画質はこの程度。
これからデジタル一眼を購入する方は、まずはショート+ロングのダブルズームを買って、
撮り慣れてきたら好みの長さの単焦点を揃えましょう。
…って、そんな事言ったらこのページの意味が無いがな!
 →お財布に優しい最近の高倍率ズームのコストパフォーマンスは高い!侮れません。
  写真は道具ではなくやる気とセンスと行動力で撮るモノです。
と強引にまとめて終了。

夏ボーナスの使い道の検討材料になれば幸いです(笑)。

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