A Message From Kazuhisa Otake
─ 人の出会いに思うこと ─
我々は一生の間に数多くの人と出会います。先ず最初に出会うのは家族など親戚縁者。近所の幼馴染など町内の
人達。そして学生時代の先生・友人と徐々に広がって行きます。社会に出て更に広がりますが、これ以降の出会い
は人生に於いてかなりの影響をもたらす事にもなります。勿論、伴侶との出会いも大きな出会いと言えましょう。
人の出会いは誠に不思議なもので、道を歩む上で出会うべくして出会うこともありますし、道を選択する事によ
り偶然に出会うこともあります。また歓迎すべき出会いもありますが、残念ながらそうではない場合もあります。
この様に考えると、人の出会いは計り知れない運命に導かれていると言うべきなのかも知れません。
私の場合、大切な出会いとして師匠との出会いがあります。先ず父母に紹介された中島絃教師。実に温厚なお人
柄で、父親のような存在で居て下さった師匠。そしてご自分の芸を惜しみなくご教授下さった師匠。思えば絃教師
と出会わなかったら以降の自分は無かったと思われます。その後澤井忠夫師に師事するのですが、絃教師に相談す
ると「これからの時代は新曲を勉強した方が良い」とのアドバイス頂いたことも忘れることは出来ません。
その頃の忠夫師は30歳過ぎの新進気鋭の演奏家で、あまり沢山の弟子を取っておられませんでしたが、細心の
心遣いと情熱をもって私の至らない演奏力を伸ばして下さいました。そして、NHK邦楽技能者育成会を勧めるな
ど、その後の歩みに方向性を示し多大な影響を与えて下さった師でもあります。その後の演奏仲間との出会いは他
のページでも述べておりますが、彼等との出会いも自分の人生で欠かす事は出来ません。
また、弟子との出会いも重要な出会いだと思っております。中には40年近く続いている者もおります。勿論、
最初からこんなに永く続くなんて考えもしませんでした。これだけ永く信頼関係を続き得た事に大変感謝しており
ます。しかし、その一方、簡単に繋がりを絶ってしまう人もあります。導かれた出会いを簡単に絶ってしまうなん
て、残念と言うほかありません。折角得た繋がりは出来るだけ大切にしたいものです。
最近高校時代の友人達と2つの還暦行事がありました。1つはクラス会。先生も参加下さって、何年ものギャッ
プを感じない楽しいものでした。1つは還暦旅行。あるサークルで年に数回会っている人達ですが実に楽しい旅行
でした。何の気を使うことも無く気心の知れた者同士、50年近く付き合っています。夢も希望も限りなく広がっ
ていた学生時代の友。パワフルで怖いもの知らずで、只一途に邁進した時代の友。同じ時代を共有する友の気心。
遠慮は無いけれど、何処かで気遣う…。本当に友人は大切です。
この歳になってつくづくと出会いの大切さを感じています。友人との出会い。演奏仲間との出会い。弟子との出
会い。また、そこから広がるあらゆる出会い。一つ一つの出会いを大切にする事により更なる出会いを生み、充実
した信頼関係を構築してゆく事に繋がると確信し、これまで得た素晴らしい出会いに心より感謝しております。
2007/7/10
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