解  説




naniwano tabi

難波の旅



 この曲は、歴史との遭遇を求め、いにしえの世界へと旅する三部作の第三作
目で、難波の国を旅します。その昔、難波には仁徳天皇の高津宮が置かれ、ま
た、天武天皇の陪都として使用された難波宮がありました。その後、室町時代
に浄土真宗の蓮如が生玉の荘に石山御坊を置いてから町が発達し、安土桃山時
代に豊臣秀吉が築城して以来商業都市となり栄えて来ました。
一方、文学・芸術においても江戸時代の初期に、俳人であり浮世草子作者で
ある井原西鶴が「好色一代男」などそれまでの伝統を破って新しい文学を開拓
し、江戸時代の中期になると、歌舞伎脚本作者である近松門左衛門が歌舞伎の
坂田藤十郎や、浄瑠璃の竹本義太夫などと提携し、義理人情の葛藤を題材に、
浄瑠璃や狂言本「曾根崎心中」など次々と作品を輩出し一世を風靡、その後に
多大な影響を与えました。作品は時代や世相を反映しますが、作品に接し、そ
の地を散策すると当時が如実に伝わって来ます。

1998年11月 作曲




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