解  説




manyouno tabi

万葉の旅



 この曲は、歴史との遭遇を求め、いにしえの世界へと旅する三部作の第二作
目で、万葉の世界を旅します。現存する我が国最古の歌集である万葉集には、
仁徳天皇の時代から西暦759年迄の約350年間に歌われた長歌・短歌・旋
頭歌・仏足石歌碑体歌・連歌など合わせて約4500首が収録されています。
しかし、その主流をなしているのは舒明天皇以降の130年間で、4期に分類
されています。第1期は舒明天皇・額田王など天皇や皇族が中心で雅の世界が
窺われ、第2期は皇族・貴族でない柿本人麻呂らが中心となり実践的な歌が歌
われ、第3期は山上憶良・山部赤人・大伴旅人らが思想への要求や、自然への
感覚、風雅への理解などを歌い、第4期は代表的な歌人であり万葉集を編集し
たとされる大伴家持が叙情的な短歌を多く書きましたが、徴発された兵士やそ
の家族などが歌った防人歌などを数多く採集し、そこからは民衆の機微が豊か
に滲み出ています。万葉集は天皇・皇族から農漁民・兵士まで、地域も東国か
ら九州までと広範囲にわたり採集され、当時の世相が如実に窺われます。

1997年12月 作曲




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