1978年に尺八の三橋貴風氏、二十絃の吉村七重氏、箏・十七絃の宮越佳子氏等と共に、現代邦楽演奏家グループ
として「楽」を結成。後に福永千恵子氏が参加し、活動は繰り広げられました。既存の現代曲は勿論、入野義朗氏や長
澤勝俊氏などに委嘱するなど、新しい分野の発掘にも力を注ぎ、さらに若手の作曲家の人達にも委嘱し、それ等の曲を
中心に演奏活動を展開して行きました。「四つの個による」とサブタイトルされていますが、単なるアンサンブルのグ
ループではなく、個々の演奏家の集まりである事をさらに強く意識しようとしたもので、今思えばいかにも個性の強い
メンバーの集まりであった事を窺わせます。1981年に大阪で開催された「楽」の委嘱作によるコンサートでその年
の大阪文化祭奨励賞を受賞しました。受賞の対象になった曲は長澤勝俊氏作曲の「樹冠」で、この曲は今でも多くの人
達に演奏されています。「楽」のメンバーは東京と大阪と地理的に離れており練習が大変で、それでも毎月合宿してレ
パートリーを増やして行きました。しかし、この合宿では音楽上の事で激しく衝突するのは日常茶飯事で、メンバーに
とって厳しい修行の場でもありました。この大変だった事も今は良い思い出ですが、この時期にこのメンバーと活動出
来たことは、現在の自分の音楽観を形成するのに掛け替えの無い経験だったと思っています。
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