ルワンダへ野生のゴリラを見に行ってきました。

ナイロビからルワンダの首都キガリまでは、飛行機で約1時間。往復1人US$400ほど。
国境こそ接していないものの、距離的にはすぐお隣の国といった感じです。
ガランとした空港には、尾翼にゴリラが描かれたルワンダの旅客機が1機だけ停まっていましたが、何の飛行機かはよく分かりませんでした。
空港を出るとすぐにキガリの街並みが目の前に広がります。
山間に小奇麗な家が立ち並び、思ったよりもずっと活気がある街でした。
歩いている人々の服装や走っている車の種類もだいたいナイロビと同じ、むしろ道路や信号などはこちらのほうが整備されていました。
キガリで旅行代金の支払い&ゴリラパーミット受領&闇両替を済ませた後、ゴリラツアーの起点となるルヘンゲリの町へ向け出発しました。キガリからルヘンゲリまでは車で2時間。道中はなだらかな山並みが延々と続くのですが、よく見るとどの山も頂上まですっかり耕されてしまっています。植えられているのはバナナ、とうもろこし、じゃがいも、豆類など。
ルヘンゲリにあるORTPN(観光局)の事務所。ここでゴリラパーミットを提示し、なにやら手続きをしました。
ルヘンゲリの町からさらにラフロードを走ることおよそ45分。Gorillas' Nest Hotelに到着しました。数年前に新しくできたホテルだそうで、なかなかお洒落。中庭にはゴリラの像もあります。お値段は1泊(B&B)2人分で$100。クレジットカードは使えないので要注意。

B&Bといっても近くにレストランなどないので、夕食も結局はここのレストラン(写真向かって右の建物)でとることになります。アラカルトのメニューを渡されたのでそれぞれ好きなものを頼んだら、「すごく時間がかかるのでビュッフェにしてもらってもいい?」と言われ、結局フルボードの客と同じメニューにされてしまいました。
中庭をカンムリヅルの集団が歩いていました。アフリカ生活も長くなってきたので、最近は何がいてもあまり驚きません。

他にも、小さい子どもが3人ほど庭をこそこそと駆け抜けていくのを何度か目撃しました。どうやら近所の村から薪用の枯れ枝を拾いに来ていたようです。
コテージ内はシンプルかつ清潔な作り。
電気は自家発電なので、朝5-8時と夜18-23時の間のみ。風呂はシャワーのみで、1回15リットルまでしかお湯が出ません。(但し、15分ほど待てばまたお湯が溜まります。)夜は結構冷え込みが厳しく、登山用の格好でそのままベッドに入りました。
ホテルから車で15分くらいのところにあるゴリラレンジャーの拠点。
野生のゴリラ700頭の内、380頭がルワンダに居ると言われ、ここでは8グループを追跡調査・管理しています。内、3グループが現在研究調査対象で、残り5グループを観光客用に公開しています。


ここへの集合時間は朝7時らしいのですが、前日事務所でドライバーが時間を聞き違えたらしく、我々だけ6時15分に早々と到着してしまいました。
6時半くらいに受付が開きました。ここでもう一度ゴリラパーミット(観光許可証)を見せます。パーミットはキガリでの事前取得が必要で、1日1人US$375。しかも観察時間は1日あたり1時間と決められています。万一ゴリラに会えなくても、返金はされないとか。

7時ごろから、徐々に他の観光客が集まってきました。全部で20人弱。雨季の山の中を数時間トレッキングするというのに、完全防水の登山着に身を固めていたのは我々だけで、他の人たちはチノパンに長袖シャツ、またはTシャツというなめた格好。ついつい雨が降ってくれるよう神様に祈ってしまいました。
レンジャーが「近くのグループと遠くのグループ、どっちを見に行く?」と聞きにきました。迷いつつも、SUSAグループという32頭の大所帯を選択。難点は、ふもとから2時間歩かないとグループに会えないということです。左の写真の頂上近くに居ます。

お気軽観光客たちは皆近くのグループにしたらしく、SUSAを選んだのは我々だけでした。普段は最も人気があるグループだそうです。
レンジャーを乗せて走ること45分。車で登れる終点がパーキングです。現地には監視を兼ねた兵士数名と、村人の野次馬30人が待ち構えていました。レンジャー1人&兵士3人と共に登山開始。銃を抱えた兵士が随行する理由は、バッファローなどの危険な動物に対処するためとのことでしたが、密猟者に遭遇した場合も想定していると思われます。
登る途中で、ゴリラがよく食べる植物を教えてくれます。左は、タケノコを採り、表皮を剥いてくれているところ。少し苦味がありましたが、けっこういけるお味でした。

日本では普通に食べるよ、と言うと驚いており、料理法などを聞かれたので、タケノコご飯など簡単なものをいくつか教えておきました。

ちなみに、この後、タケノコかじりながら楽しく登っていたら、滑って小さい川にずり落ち、ひざまで水に浸かってしまいました。完全防水の靴だったので、水が中に入ったら、なかなか出て行かず、疲労が倍増しました。
ゴリラを監視しているレンジャーと無線連絡をとりつつ登っていくのですが、ゴリラが移動することもあり、途中竹やぶを切り開いたり、崖を上り下りしたりと、不健康な中年には辛い運動でした。

2時間の登山を経て、ようやく監視隊と合流。レンジャーや兵士など5〜6名が監視にあたっていました。
監視隊に荷物を預け、カメラだけを持っていよいよゴリラウォッチングへ。なんとすぐそこに3頭のオスがたむろしていました。真ん中のシルバーバックは群れのNo.2だそうです。

ゴリラを刺激しないよう、少しずつそーっと近づきます。観光客はゴリラから7mの距離を常に置かなければならないというルールがあります。
少し離れたところには親子のゴリラがいました。奥であくびをしているのが父ゴリラ、その前には双子を抱えた母ゴリラ。一番手前にいるのは若者ゴリラです。近くには草で器用に昼寝用のベッドを作っている個体もいました。
記の親子が歩き出したので後を追っていくと、草むらの中でまた別の親子が食事をしていました。先ほどレンジャーが教えてくれたのと同じようなタケノコをむしゃむしゃと食べています。近くの草をまるで野菜サラダのように時々むしって食べる様子も見られました。
少し開けたところに大勢のゴリラが集まっていました。ここは足場が悪く7mの距離をとるのが難しいため、この近さで観察することができました。我々が立っていたのがちょうどゴリラの通路だったらしく、ゴリラが目の前(50cmほど)を通過していくシーンも何度かありました。あの巨体がのしのしと近づいて来た時は、さすがに緊張しました。
子ども達はとても遊び好き。ロープにつかまったり追いかけっこをしたり。大人たちはそこらをのしのし歩き回ったり、寝転がったりしていました。
胸を叩く仕草(ドラミング)は自分の力を誇示する目的のほかに、他の個体とのコミュニケーションや寒い時に体を温める目的があるそうで、頻繁に行われていました。


彼らの動きに目を奪われているうちにあっという間に1時間が経過。後ろ髪を引かれる想いで帰路につきました。
下山は、ゴリラを探して右往左往するということがないので、1時間で駆け下ります。でも、空気が薄いため結構息苦しく、頭痛と疲労がそこそこありました。
ホテルから見た景色。まさに、霧の中の国という感じです。標高が3千メートルと高いせいか、雲がとても低く感じられます。
一転して、首都キガリのノボテルホテル。何と、ここではVISAカードが使えます!!現金をあまり持っていなかったので、カードでお願いすると、何故かユーロ建てで請求されました。

久しぶりにバスタブにお湯を張って、心行くまでお風呂を楽しみました。ホテルの料理も、ベルギーの植民地だっただけに、結構美味しかったです。
ホテルから空港へ向かう途中に見えた、旧大統領官邸。94年内戦時の砲撃による穴があちこちに見えます。

市内唯一の観光ポイントである虐殺記念館ですが、人々とゴリラの平和な暮らしを眺めているうちに、すっかり行く気が失せてしまいました。現在の平和がいつまでも続くよう、祈るばかりです。