患者の立場での糖尿病臨床研究

その9) 50時間絶食下における2回の糖負荷テストでの
     検査室測定値と自己測定値の動き


 50時間の絶食の初めと終わりの計2回の糖負荷試験をおこない、検査室測定値値(静脈血値)と自己測定値(動脈血値)の両方の血糖の動き、並びにインスリン、インスリン拮抗ホルモンの動きをみる実験をおこないました。

 何故この様な実験計画を立てたかについてお話しますと、1回目の糖負荷試験では当然のことながら通常の5時間糖負荷の波が出るはずですが、2回目の糖負荷試験の時には絶食の影響でインスリン拮抗ホルモンが相当程度上昇しているはずなので、その影響で、血糖の大きな上昇の津波のような波がくることが想定されるので、そうなるかどうかを検証すると同時に、その時の動脈血と静脈血の動きも同時に観察したいと考えたからです。
では、実際に起こったことをグラフにしたものをお見せしましょう。

2009年2月17日の午後5時に軽い夕食を済ませた後絶食を開始し、19日の午後8時に終了しました。ご覧のように、2回目の糖負荷試験ではとても大きな血糖上昇の山が見られました。
もう少し拡大したグラフでおみせしましょう。

一回目の糖負荷試験におけるインスリンならびにインスリン拮抗ホルモンの動きも想定したとおりでしたし、動脈血と静脈血の動きも通常の想定どおりの動きでした。その後、絶食を続けるに従って予想通りインスリン拮抗ホルモンは次第に上昇して行きました。一方、インスリンは低い状態を保ったままでした。すなわち、絶食とともにインスリン拮抗ホルモン優位の状況が加速されていったのです。もちろん当初は静脈血糖値と動脈血糖値との差は次第に拡大して行きましたが、先の71時間絶食試験(すなわち実験1)で見られたと同じ現象が見られ、絶食の時間経過が進むにつれて、こんどは逆に静脈血糖値と動脈血糖値との差が縮小し始め、ついに、絶食開始後42時間目には動脈血糖と静脈血糖の値が同じとなり、重なったのです。実験1と同じ現象が、ここでも認められたのです。私は、この絶食開始後42時間目に2回目の糖負荷試験のトレーランG75を飲んだのです。

これが、2つの糖負荷試験の山を並べて比べた図です。2回目の山は、なんだか全てが狂ってしまったみたいな、収拾のつかない津波のような山ですよね。2回目の糖負荷前のインスリン拮抗ホルモンが余りにも高かったので、その高い勢いが糖負荷直後にも継続したために通常の山とは異なり、血糖ピーク時に静脈血の方が 20 mg/dl も動脈血よりも高いという異常事態が起こっています。実は、この異常事態こそは、全く別な角度から、静脈血糖値と動脈血糖値の差異に関する私のこれまでの仮説を力強く支持する結果となっているのです。すごい結果だと思います。
さて、本日のお話の最後に、この実験2におけるFFAの動きを一連の2枚のスライドでお示しいたします。


このFFAの動きは、これまで見てきたFFAの動きから予想されたとおりの動きですが、それにしてもFFAの動きは俊敏でかつ強烈ですよね。もちろん、これらのデーターは全て世界で始めてのデーターで、眺めているだけで色々なことを語りかけてくるデーターの山と言えますよね。