思うこと 第93話           2006年5月17日 記       

日本神経学会の学術No.1と臨床No.1の同時栄誉に輝いた男の紹介

昨年の日本神経学会賞の学術賞は私達の教室の高嶋 博君に決定し、総会の席上で金澤理事長から下の賞状と楯が送られた。大変名誉な事であった。
 

本年は、昨年度の受賞者が受賞記念講演を行うよう岩田学会長から指名を受け、
5月11日の学会初日に晴れの記念講演が行われたが、まず、その場所と時間がこれ以上ないという名誉な設定になっていた。 何と、下の写真の5部屋ぶち抜きの大会場で、養老 孟司先生の特別講演と岩田誠先生の会長講演に引き続いて金澤理事長座長のもとで高嶋君の講演がなされた。


高嶋君は、静かに、堂々と話しはじめ、


次のスライドが1枚目と2枚目のスライドであるが、




同君の講演は『さすが受賞講演!』といえる、すばらしい講演で、その後フロアーで多くの人から私までもがお褒めの言葉を受けたのであった。 講演の後、座長の金澤理事長から演者への質問、『あなたが、分子遺伝学の分野に入っていったきっかけは何ですか?』に対する高嶋君の返事は、さすが井形門下生!と言いたくなるすばらしい答えであった、曰く、『私は当初MRIなどの分野に興味を持っていたのですが、沖縄病院に出張勤務したときに神経難病の患者さん方と語るうちに、この方々を治すには病気の原因を明らかにする必要があると感じ、その手法として分子遺伝学に自然な形で入っていきました。中川 正法先生というその道にすでに精通しておられた先輩の指導を受けれた事が大きかったように思います。』と。  高嶋君が昨年の鹿児島の神経学会総会の全員懇親会で焼酎に関するスライドセッションをしたことを憶えていた人も多く、焼酎の話も抜群だったが、今日の受賞講演は格別で、鹿児島はすごい人材を多数抱えていますね、と感嘆していた。

高嶋旋風はそれでとどまらず、すごい出来事が待っていた。今年度は特別企画として、同じ日(5月11日)の夜7時から2時間半にわたる『フィルムリーディングセッション』が開催された。

これは、難しい症例を学会場のメインフロアーにパネルで6症例(8問)を朝から展示して、会員に各症例の診断名を午後3時までに記名で記入して投票箱に入れてもらって、最も正解得点の高かった人をセッションの時に表彰するというものであった。そして、何と、この最高得点者が、またもや高嶋君であったのである! 
このことは、高嶋君一人の名誉にとどまらず、私までもが多くの人から、『鹿児島大学は学術のみならず、臨床家の育成にも力を入れているのですね!』と、お褒めの言葉を、これまた多くの人からいただいたのであった。
若者のパワーに感謝、感謝である。