思うことー第7話 平成16年1月25日記す
日本画の難しさ、そして奥の深さ
日本画に挑戦してかれこれ4ヶ月近くなる。4ヶ月ほど前、福岡のにジュンク堂書店で日本画に関して書棚にあった中でめぼしい本の殆どを買い込んだ。全部で10冊ほどだったと思うが、書棚に中島千波先生のビデオの教材もあったのでこれも求めた。結果的にはこのビデオは極めて役立った。画材の買い方から始まって、菖蒲の花のスケッチ、膠(にかわ)の溶かし方、和紙へのドーサ塗り、水張り、胡粉の作り方と塗り方、線書き、色を付けては上から他の色で全体にかぶせ塗りし、適時部分的に下の色を洗い出し、さらに幾度か重ね塗りし、最後に仕上げをし、美しい菖蒲の大作が仕上がるまでの全工程が納られている。ビデオは繰り返して何度も何度もみて、今も、見ながら日本画に挑戦している。買った本は、読み終え、今は、必要に応じて読み返している。この様に、独学で学びながらの製作なので、私の日本画の第一作目の作品はなかなか出来上がらず、完成まであとどれほどかかるか見当も付かない状況である。日本画に挑戦して以来、水彩画などの他の絵もストップしたままである。日本画は本当に難しい。水彩画やパステル画とは格段に難しく、学ぶだけでなく、技術を体で覚えなければならず、一朝一夕に出来る分野ではないことを思い知らされた。何度も、あきらめようかとくじけそうになったが、困難だからこそ挑戦という言葉がある、時間がかかってもいいではないか、と自分にいいきかせながら修行に精出している。先達の残した名作を観ることも修行の最も大切な作業の一つである。この作業は今後死ぬまで続けることになろう。いいお師匠さんに出会い、その方に直接教えてもらうことが将来の夢であるが、とりあえずのところ、独学での修行を先行させることにした。まず、苦労したほうがよかろうとの判断である。
買った本のなかで、1冊、目からウロコというか、心底感銘を受けた本があった。千住 博画伯著の「絵の心」という本である。日本画をとことん突き詰めて歩いた画業20年の集大成で、日本画の極限に挑み、伝統的日本画を越えた世界を創出したすざましい生き様に圧倒されてしまった。すごい人がいたものである。
ところで、もちろん言うまでもないことではあるが、私の日本画がなかなか進展しない最大の理由は、本業の医学・医療が忙しく、その合間にしているからではあるが、それにしても、日本画は奥が深く、大変である。