思うこと 第79話           2006年3月1日 記       

やってよかった新春読書 

 今朝、徳島をAM 07:15発のバスのなかで、朝ホテルの部屋に届けられていた日経新聞をみて、「そうか!こういう手があったのか! さすが日銀、プロはすごい!」と感嘆したのであった。日銀による量的緩和の解除はすでに秒読みの段階に入っていたが、それによる長期金利の急激な上昇をどう予防するのか、予防できるのか、気になっていた。700兆円を超える国債を抱えている国にとって、長期金利の上昇は、もろに国の財政に影響する。もちろん、長期的視野で考えれば、ゆっくりとしたスピードのインフレは、国の借金である国債の相対的な軽量化をもたらし、かつ、税収の増加をもたらすので、決して嫌ではないはずだが、急激な上昇は困る、というのが、国の本音のはず。だからこそ、日銀の量的緩和の解除に慎重にするようシグナルを送り続けていた。国を納得させながら、かつ、ゆるやかにデフレからの脱却するのに、日銀がどのような舵取りをするのか注視していたのである。だから、今朝の日経のこの一面のトップの見出しに感嘆のこえをあげてしまったのだ。金融政策の操作目標になる無担保コール翌日もの金利に0.1%の上限を設け、事実上0%近くに抑え込むという。これに加えて、日銀は長期国債を月間1兆2000億円ずつ買い切る措置の継続も表明した。これなら、長期金利の上昇は抑えられ、金利上昇による国債利払い費の増加を懸念している政府の理解も得やすいであろう。これにより、秋以降と予測されていたゼロ金利の解除も前倒しされる可能性が大きくなったといえよう。
 私は、この記事を読みながら、新春読書以前の自分よりも、今の自分が明らかに記事に対する理解力が増している事が嬉しかった。今月1月8日の「思うこと第56話 2006年の“年の初め”の読書 ーその1ー 」から始まって、1月30日の「思うこと第67話 2006年の“年の初め”の読書 ーその11(最終回)ー 」まで11回に亘って、私の新春読書の苦闘ぶりを、恥を忍んで披露し、皆さんからの批判・意見を待ったのであった。その結果、多くの暖かい意見をもらうことが出来た(「思うこと 第69話〜71話」) そして、極めつけの、「プロのコメント」までもらう事が出来た(2月8日記 「思うこと 第75話」)。忙しいなか、ずいぶん無理をしての新春読書であったが、やってよかった、と実感した、今朝のできごとであった。