思うこと 第33話     2005年4月19日 記

テーマを掲げて進むことの大切さ

昨日書いた「思うこと第32話」のなかで、武氏が「患者さんの立場にたった診療をしよう」というテーマをかかげて全職員が一丸となった、という話をしたが、団体で行動する時にはテーマを掲げて進むことは極めて大切なことである。自分たちの教室の例をあげると、私が18年前に教授に就任した時に左の写真に示す医局員心得を提示し、100名を越す医局員全員に周知徹底した。要は、「患者さんの病を治す」ことに全力をあげるという、当然の、そしてまた当たり前のことではあるがテーマとしてかかげたのであった。 その後、毎年新しく教室員の仲間入りをする10人前後の新入医局員(会社で言えば新入社員にあたる)にこの心得を、一人一人に皆の前で渡すことを恒例の大切な行事としてきた。 この心得は、この18年間の教室の発展に何らかの役割を担ってきたように思う。 当然の、そしてまた当たり前のことであればこそ、テーマとして掲げることに意味があったように思う。 まず、いい臨床医になることが求められ、研究も、患者さんの病気を治すために必要だからするのであって、研究のための研究は無意味である、という当然のことが、教室の当然の雰囲気になっていったように思う。もちろん、井形先生(初代教授)の教えを守り育てることこそは、一番大きなテーマとして掲げたが、このテーマと先述のテーマは内容が全く同じであったことはいうまでもない。