思うこと 第32話 2005年4月18日 記
リーダーのあるべき姿 ーその8ー
ー武 弘道氏に学ぶー
武 弘道氏の著書「こうしたら病院はよくなった」を読み、衝撃とともに深い感銘を受けた。武 弘道氏こそは、真のリーダーであると言えよう。 日経新聞や「財界」が埼玉のゴーンと賞賛した理由がよくわかる。 この本は、「リーダーはかくあるべし」ということを教えてくれる本である。そして、武 弘道氏が埼玉の病院管理事業者(
CEO )として招請され、この3年間で県立4病院の57億円の収支改善をなしとげた理由は、一重に氏の並外れたリーダーシップによるものであることもよくわかる。 病院はオーケストラのようなもので、オーケストラで指揮者がよくないといい演奏は出来ないように、病院長が病院管理に秀でていないといい病院運営はできない、と武 弘道氏は述べておられる。 氏はかなり以前から病院管理に必要なデーターを収集・分析してこられている。このような地味な努力が、鹿児島市立病院の病院管理者・病院長の8年間の病院の発展に繋がったと思うし、埼玉での成果を生んだともいえるが、それにもまして武氏のすごさは氏のもって生まれた人間性のすばらしさにある。 「患者さんの視点に立脚したよりよい医療」を追求してゆくなかで、収支改善は結果としてついてきたものである、とも述べておられるが、リーダーがこのように明確なるテーマを掲げ、職員が一丸となって“やる気”を出さすことこそがリーダーに求められるわけで、武氏はみごとにそれを成し遂げられたのである。私は、高校も大学も武先生の4年後輩で、大学時代も、そしてまた卒業後今日に至るまで武先輩の薫陶を受けてきたので、武先輩のことを熟知しているだけに、この本を読ませていただいて、リーダーが成功するためには、周囲から尊敬されるような人間性を有していることが必須であるような気が、いまさらのようにするのである。 この本には書いてないが、その後、武 弘道氏は本年3月末までの埼玉県病院管理者としての3年8ヶ月間に70億円の収支改善を達成され、本年4月より、再び3顧の礼をもって迎えられた川崎市病院事業管理者の初代として就任された。川崎市の病院経営状況は、武が赴任される前の埼玉県立病院と同じぐらいとのことであり、武氏の今後の活躍が渇望されているのである。