思うこと 第254話           2007年9月24日 記

“米FF金利0.5%下げ”の後に何が起こるか!

 2007年9月20日の日経新聞に掲載された『FRBがフェデラルファンド(FF)金利を0.5%引き下げ、年4.75%とすることを決定・実施した』というニュースの事の重大性について、昨日、『思うこと253話』で述べた。

そして、これの関連して松藤民輔氏の上写真の本を紹介した。
今日は、松藤民輔氏の論説を今回にあてはめると、今後の世界の、そして、日本の経済情勢はどのようになってゆくと予測されるかについて述べる。
通常の経済の常識は『金利を下げれば株価は上がる』、である。ところが、これまでの金利と株価の動きを分析すると、この常識に反して、『金利が上がれば株価も下がり、金利が下がると株価も下がっている』という『非常識な現実』があるという。
1978年11月、金利が9パーセントの時には、NYダウは441ドルであった。これが2パーセントまで下がると157ドルまで下落する。この大暴落で殆どの企業が破綻した。
1929年8月、当時、金利は6パーセント。NYダウは381ドルであった。これが、1.5パーセントまで金利が下がってくると、NYダウは42ドルまで下落する。これがあの有名な「金融恐慌」の瞬間である。
2000年7月、アメリカが政策金利(FF金利)を7パーセントに上昇させた時、ナスダックの平均株価指数は5133ポイントであった。その後、アメリカは金利を7パーセントから1.12パーセントまで下げ続けるのだが、1.12パーセントの政策金利のときのナスダックの平均株価指数は1109ポイント。
これらの事実は金利が下がる時、株価も下がることを示していると松藤氏は述べている。
この本は昨年11月に初版が発売されているが、その時点で、すでに著者はアメリカの不動産バブルの崩壊は現実のものになっていることを指摘した上で、今回起こったサブプライムローン問題を必ず起こると予見しているのである。そのうえで、アメリカはこれ以上政策金利を上げることはできないだろうと予見し、結局FF金利を引き下げざるを得なくなることを予見していたのである。そして、その後に、米国の株価の大暴落が起こることを予言している。この米国株価の暴落を受けて、日本の株式市場も下降するが、しかし、立ち直れない米国とは異なり、日本は数年後に立ち直り、むしろ、世界を牽引してゆくと予見している。米国株式の暴落はすぐにはドルの暴落には繋がらず、むしろ一時的には円安ドル高の時期があり、その後、ゆっくりとしかし確実に円高ドル安への道をたどるという。その中で、石油や金価格の上昇が必ず起こり、特に、金価格の上昇はとてつもなく大きい可能性が高いと言う。松藤氏は、短期の動きではなく、大きな流れとして言っているのであるが、一昨日の日経での金と石油の先物価格の上昇(下写真)はこれらの流れの始まりかも知れない。