思うこと 第250話             2007年9月10日        

運を呼び込むための努力


 かって、『思うこと 第40話』 『運は“運んでくるもの”』と題して“野球の神様”元巨人軍監督の川上哲治氏の言葉、「9連覇を成し得たのは、運がよかったことも確かだが、運だけで達成できるものではない。 “運”の漢字は“運ぶ”とも読めるが、“運”は“運んでくる”ものです。 “勝つ”ことに執念を燃やし、練習、研究、対策の限りを尽くしたからこそ9連覇を成し得たのであって、努力で勝利を“運んできた”のです。」に感動したことを紹介した。
 今回の台風9号の際、この言葉を思い出させる私個人の小さな体験を紹介する。

台風のさなか、9月6日の夜、秋田市に講演で呼ばれた。9月6日の午後、羽田経由で秋田空港に到着の予定であったが、台風情報と航空会社の時刻表をにらみながら、朝の一便で羽田に向かうことに前日夕刻に決断し、苦労しながら6日午前中に組んでいた予定を何とか変更した。結果から言うと、私の乗った便が当日秋田空港に着陸した最後の航空機であった。着陸の時はすでに関東に上陸した台風の影響で風も強くなっていた。空港に着くなり努力したのが翌日の鹿児島への帰りの便の手配であった。というのは、7日の夕刻からどうしても私が出席しないといけない会合が予定されていたからである。翌日7日の正午前に秋田空港は暴風雨圏内に入る公算がたかく、朝の第1便の午前7時半発の羽田行きを手配した。ただ、、台風の暴風域が極めて大きく、速度が遅いことが特徴の台風9号のため、台風が羽田をぬけるのが7日の午前9時前後と予想され、午前7時半発の羽田行きが飛ばない可能性があった。唯一、間違いなく飛ぶであろうと思われたのが大阪行きの朝一便(午前8時発)であった。しかし、満席とのこと。そこで、午前7時半発の羽田行きの切符に加えて、午前8時の大阪行きのキャンセル待ちをすることにした。50席しかない小型機なので、キャンセルがでても1〜2席と予想された。キャンセル待ちは当日しか出来ないので、翌朝、午前5時25分にホテルをタクシーで出て、カウンターがオープンする6時よりも10分前から並び、キャンセル待ち一番を取得することが出来た。結果的には午前7時30分発が飛びたったので、それに乗ったが、あとで聞いたところによると、この2つの便がその日秋田空港を飛び立った便の全てで、これ以降の便は台風のため全て飛び立てなかったとのこと。一方、羽田では、風が強く、着陸できない可能性もあったが、15メートルほどの強風ながら横風でなく正面からの向かい風であったため、無事着陸できたのであった。結果的には、正午前に鹿児島空港に着くことが出来た。幸運であった。しかし、この幸運には、綿密な調査と、朝5時25分にホテルを出るという小さな努力があったのである。川上哲治氏の言葉を思いおこさせる、小さな体験の報告でした。