思うこと24話        2004年11月2日朝記す

活力あふれる中国に感嘆

 今、中国の深せん(Shenzhen)で書いています。私の教室に10年ほど前に大学院生として留学して博士号を取得した中国人の先生(王先生)が、若くしてこの地で神経内科の教授になり、遺伝子分析研究センター長も併任して活躍しており、今回は、そこでの講演と研究指導に召請されたものです。関西空港を飛び立って3時間、広州空港に降り立って、まず、その立派なことに驚きました。広さは関空の2〜3倍はありそうで、床は御影石で敷き詰められピカピカに光沢を放ち、さすが、東洋一の国際空港といわれていることが納得できました。広州から深せん市までの2時間半の高速道路は広く、新しく、1直線で、日本の高速道路よりはるかに整備されていました(ちなみに、制限速度120Km/h)。深せん市内にはいって、さらに驚いたことに、そこは、東京の新宿副都心に匹敵する計画的な美しい市街がひろがっており、30〜50階前後のビルが林立していて、本当にびっくりしました。中国の他の都市でよく見かける自転車専用道路はなく、自転車は日本と同じように、時折歩道を走っているのを見かける程度でした。道路は比較的高級な新しい車であふれていました。この写真は到着した日(10月31日)の歓迎の夕食会が始まる直前の写真で、深せん市街の向こうにみえる丘陵は香港市の郊外にあたり、香港と隣り合わせの市なのです。翌日(すなわち昨日)私は、研究所や病院を視察した後、「神経内科疾患の最近の進歩」と題して講演しましたが、その講堂も立派で、液晶プロジェクターは最新のものが天井に設置されており、完璧の設定がなされていました。1時間あまりかけて、私たちが発見した脊髄疾患HAMでどのように研究が進められているか、有村助教授のグループが発見したPOEMS症候群の原因にVEGFが関与していること、ならびにIsaacs症候群がカリウムチャンネル抗体で起こる機序、樋口講師が発見したウールリッチ筋萎縮症の原因がコラーゲンYの欠損でおこること、そして最後に梅原講師が発見したDhh遺伝子病について話をしたのでした。いずれも、世界の神経病の分野で大きな話題となった発見の話だったので、講演の後の質問もたくさんいただきました。私がもっとも感銘を受けたのは、その質問のレベルの高さと、熱意(意気込み)でした。実は、先だって、私のもう一人の教え子の中国の先生(胡先生)も30代の若さで最近教授になり石家庄市で活躍していますが、この先生の所を今年8月に訪問したときにも、同じ様な活力を感じ感銘を受けましたので、この傾向は決して深せん市だけのものではないようです。中国は、今、経済の分野で年10%以上の成長率で発展しつつありますが、学問の分野でも、今後大きく発展するであろうという勢いを感じ、感動しました。今後、この分野でも、お互いに共同しあって、共に発展してゆくことになってほしいと思いましたし、また、そうなることを確信できた今回の訪問でありました。中国のこの活力は、今後、難病の治療法の確立のための研究にも、きっと、加速をあたえてくれることであろうと期待することでした。