思うこと 第201話             2007年4月9日        

青雲の志で夢追う若者との感動の出会い


 2007年3月22日、私のHPに置いてあるメール箱に次のような感動的なメールをもらった。
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鹿児島大学 納 先生
 先生のホームページを見てはじめてメール差し上げました、西園啓文と申します。苗字からお分かりになられる通り、鹿児島県出身者(28歳)です。故・山村雄一先生の事をインターネットで調べている際に、先生のホームページを見つけ、拝見しているうちに、先生が私どものような若者に向け、情報や意見を発信している姿に感動し、メール差し上げた次第です。

 私は、阿久根市に生まれ、阿久根中学を卒業後、国立八代工業高等専門学校に進学しました。実家が貧しく、普通の高校に通う事が困難だったため、国立で寄宿舎および授業料免除制度のある高専を選んだのですが、その際に『生物工学科』を選択し、現在でも生命現象の研究・事業化に携わっています。
 高専を卒業後、同じ高等教育でありながら大卒と差別される高専教育システムへの矛盾を感じ、熊本大学理学部に編入、同大学院を修士で修了後は、久光製薬の子会社で精子の研究を行っていました。
http://www.kyushu.meti.go.jp/kan/vol19/14.pdf

 3年間会社勤めを経験し、所為あって、昨年8月に横浜市に自分で『株式会社 生物学応用研究所』を創業しました。
http://bigpacific.ca/seiohken
(近々、独自ドメインに移行予定です)

 私の世代までは、阿久根のような田舎にはまだ郷中教育の名残のようなものが存在し、地域の子供会の中で、『平田靱負の治水工事』などを例に、薩摩隼人のかくありきを学びました(残念ながら、私の妹の世代にはなくなっていましたが)。それ故か、同じ郷里の実業家先輩である京セラや、新日本科学を強く意識しながらも、郷里のために何かしたいという気持ちがあります。

 特に、我が阿久根は、痩せた赤土の上に大河が無く、特産品らしいものもなく、最近では漁獲量も減っているという四重苦の超少子高齢化地域です。上記に、私の実家が貧しく進学先が高専しかなかった旨の事を書きましたが、やはり同郷の学弟たちも似たような状況にあるのが現状です。
 そこで、「何とかこの状況を変えたい!」と思い、自分で会社を興し、孤軍奮闘している次第です。元々、分子生物学が専門でありましたので、遺伝子組換えマウスを使って、機能性食品の開発支援事業を行いながら、いつか『阿久根ボンタンの機能性食品開発』を行おうと考えています。

 故郷のために何かを考える・・・という意識は、その範囲を”わが国”と広げても、近年の若者にはありません。特に、横浜で知り合ったITベンチャーやバイオベンチャーの社長たちには、そんな意識は微塵もありませんでした。 しかし、中には志を持った若者もいて、会社の運転資金を稼ぐための土日に行っていたバイト先で彼らと出会い、お互いに励ましながら頑張っています。そんな折に、先生のホームページを拝見させていただき、非常に勇気付けられました。本当にありがとうございます。

 これからも、われわれ若い世代の規範となるような言葉を、よろしくお願いいたします。

2007年3月22日
西園 啓文
(株)生物学応用研究所 代表取締役CEO
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 私は、この様な高い志に向かって努力している青年の存在に、心を打たれた。そして、返事のメールで私の感動を伝えた。それに対する返事の中で、私は西園青年が、4月の7日に鹿児島大学フロンティアサイエンス研究推進センターのが主催する日本実験動物技術者協会九州支部の30周年記念会に出席するために帰郷する予定であることを知った。私は、ぜひ、会いたいとメールした。そして、ついに私の願いが現実となった。なんと、西園青年は、昨日、4月8日、『納 光弘展』最終日、会場に駆けつけてくれたのである。

早速、会場の私の絵の前で記念写真を撮った。この背景の日本画は、個展に作品を運び込む直前に描きあげた、今回の展示作品の中で最後に完成した私にとっても記念の作品であるが、西園青年もこの絵を気に入ってくれた。私達2人は、初めての出会いであったにもかかわらず、何だか旧知の友人のように熱く語りあった。
私は、西園青年が生物学応用研究所代表取締役CEOとして、仕事の分野で、会社を急成長させながら、極めて大きな業績をあげ、この分野で注目されていることを知り、さらに感動した。ちなみに、先週4月4日のHj健康食品健康の特集記事の一部を示す。

私は、西園青年(本当は、西園CEOと呼ぶべき!)のように郷土愛に熱く燃えながら羽ばたいている若者がこの日本に存在していることを、他の若者に知ってもらいたくて、同君からのメールとこの写真とを私のHPで紹介することをお願いし、快諾を得たのでここに、同君の今後の活躍への私からの熱いエールを添えて紹介する。