思うこと 第135話           2006年9月4日 記

教え子の特別講演に感動

 一昨日、土曜日の夕刻、県医師会館で、教え子の富満久教医師(下写真)による特別講演会があり、私は最前列で聴き、感動しっぱなしであった。

座長はこの講演会を企画推進してくれた有村公良助教授(下写真)で、演題は『開業医が診る神経疾患(頭痛を中心に)』(下写真)であった。

富満医師は、私達の教室に平成6年に入局し、それ以来神経内科を共に学び研鑽した仲間である。 神経内科の専門医の資格を有するばかりではなく、神経生理学・筋電図に関しても有村助教授から直接薫陶をうけた専門家で、その明朗闊達な性格も手伝い、教室でも患者さんからも人気者であった。 同君が福岡県前原市で神経内科のクリニックを開業したのが平成15年2月であったから、あれから3年半しかたっていないことになる。 しかし、同君の特別講演は集まった60余名の先生達を魅了した。 頭痛に関する講演はこれまで幾たびとなく著名な先生方のお話を聴いたが、これまでと全く切り口の異なる、100%患者さんの立場に立ったお話で、すばらしい感動的講演であった。 同君のクリニックは極めて繁盛しており、毎日とても忙しいそうである。 訪れる患者さんの約20%の方が片頭痛とのことで、片頭痛の名医がいるとの評判が口伝で広がって、頭痛で受診する患者さんは益々増える傾向にあるとのこと。 実際に診た患者さんの症状と治療を話してくれたが、頭痛に関する治療のコツや奥義を聴きながら、開業3年半でこれだけの膨大な経験と勉強をした同君に感動したのであった。 
 5年前に片頭痛の特効薬のトリプタン製剤が本邦でも発売になり、今では4種類の薬剤が使える状況になっている。 発作が起これば寝込まなければならない人が多いこの片頭痛が、治療可能な病気となったにもかかわらず、片頭痛患者さんの7〜8割は適切な診断もなされず、今も苦しんでおられると推定されている現状は、許されないことであり、広く国民に啓蒙する必要がある。片頭痛を専門領域とする神経内科医の1人として私も今後、この啓蒙活動にさらに力を入れてゆきたいと思っている。 同君の話を聴きながら、私のこの思いはさらに強くなったのであった。