個人的出来事 第34話        2006年2月22日 記

オーロラを求めて ーその12− 

フィナーレ(最終回)



今朝、羽田を発ってしばらくして、窓の外に富士山と芦ノ湖の一大パノラマが広がった。


いつも見る景色ではあるが、アラスカ帰りの今朝は、この景色が新鮮に見えた。
空気の透明度をアラスカから持ち帰ったのかも!と思いたくなるほど富士がくっきりみえた。


日本アルプスの連峰もこれまでで一番鮮やかに見えた。


鹿児島空港に着いて、車に荷物を積み込むなり、自宅に帰る前にどうしても寄りたい目的地にナビをセットした。 
目的地は“阿久根 大川”。
2月5日に個人的出来事 第21話 として、大川のしだれ紅梅の日本画の下絵のスケッチに出かけたが、まだ咲きはじめたばっかりで、満開の時期が私のアラスカ旅行にみごとに重なっていたことを話した。
たとえ盛りをすぎていても、日本画のイメージ作りに、ぜひ、もういちど見たかった。
幸い、今日まで年休をいただいてあった。
だから、家に帰り着く前に、寄り道をしたのである。
羽田のホテルで今朝見たテレビの天気予報では、午前中晴れ、午後雨、となっていた。
雨の降りはじめる前にたどりつきたい! の一心で、おもわずペダルにちから入った。

たどり着いた時の紅梅の写真を示す。


幸い、うす曇のそらから薄日が射していて、まばゆい梅の大樹の姿に感動した。
地面に散った花びらはあったが、日本画のスケッチにはこれだけ残っていれば充分だった。



この日は水曜日だったので、私がいる間に訪れた見物人も数人しかなく、ゆっくりとスケッチできた。
持ち主の若松四男氏のお話では、2月11日から15日までが最高の見どころだったとのことで、
この時の土日は大変な数の人が訪れたとのこと。

何と、下絵のスケッチを終わった直後に太陽は厚い雲に覆われ始め、
鹿児島に着く頃には雨が降り始めた!!

結局、家に帰り荷物を降ろして、大学の教授室にたどり着いたのは午後3時であった。
メールを開くと、留守中に溜まったメールの総数376通、
教授室の机の上には、12日間の間に積もった仕事の山があった。

夢のように楽しかった環境から、現実の多忙な生活に瞬時に頭を切り替えた。
旅行前の毎日のタイムスケジュールは、午後9時に寝て、午前3時に起き、2時間日本画を描き、大学の教授室での仕事を朝6時にスタートするという、極めて優雅なスケジュールであったが、
どうやら、しばらくは、日本画を描くことをおあずけにして、朝、2時間早く4時から教授室での仕事をはじめることになりそうである。

それにしても、努力で勝ち得たアラスカの成果は、自分で自分を褒めてあげたいぐらいだ。
留守をまもってくれた、職場の皆さんに深い感謝の気持ちをこめながら、12日間のオーロラを求めた私の旅の記録を閉じることにする。

明日からは、語り尽きないアラスカの魅力を、何日間か、追記の形で語ってみたい。
ああ