おジャ魔な水戸黄門!?
第三話『ステーキ屋にて』
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男達はまりなから手を離し外へ出て行き、あいこも男達に続く。解放されたまりなはおんぷの元に駆け寄って、
まりな「お願いです!私なんかの為に危険な事は止めて逃げて下さいっ!」
しかし、まりなの訴えに対し、おんぷは平気な顔で、
おんぷ「あ、別に気にしないでいいから。あいちゃんなら大丈夫よ♪」
まりな「で、でも、お友達が心配じゃないの・・・?」
おんぷ「心配?私が今一番心配してるのは今夜泊まる宿がまだ見付からない事よ。」
まりな「そ、そんな・・・」
微笑みながら平然と答えるおんぷに呆気にとられるまりな。
おんぷ「さ、一緒にあいちゃんの闘いを見学に行きましょ。はづきちゃん、どれみちゃんの事はよろしくね。」
はづき「わ、わかったわ・・・どれみちゃんは私にまかせて!」
決意を秘めた表情でおんぷを見送るはづき。

***********

おんぷとまりなが共に外へ出た時、あいこと男達の闘いは今まさに始まろうとしていて、周りは既に騒ぎを聞きつけた野次馬で溢れ返っていた。
男A「覚悟はいいなっ!」
男B「じっくりいたぶってやるぜ!おでこ野郎!」
あいこ「それ以上おでこの事は言うんやないわっ!三人まとめてさっさとかかってこんかいっ!」
男C「それじゃあ遠慮無く・・・行くぜっ!」
三人は三方向からあいこを取り囲み、一斉に襲いかかる。が・・・
゛バキッ゛
男A「ぐえぇっ!」
゛ドカッ゛
男B「うぐぉっ!」
゛ボコォッ!゛
男C「うげぇぇっ!」
あいこのまわし蹴り、裏拳、みぞおちへの正拳突きの三連コンボが見事に炸裂する。
あいこ「な〜んや、いばってた割には全っ然!たいした事ないやんか。」
呆れ顔で両手を叩きながら、悶え苦しむ三人を見下すあいこ。
男A「くっ、ち、畜生・・・」
男B「つ、強い・・・」
男C「お、お・・・・」
゛バキッ゛
禁句を言おうとした男に蹴りを入れるあいこ。
あいこ「おでこの事は言うなっちゅうねん!」
トドメを刺された男は薄れゆく意識の中で、
男C(恐れ入りましたって言おうとしただけなのに・・・)
と涙を流しながら力尽きた。
男A「ちっきしょー!覚えてやがれ!」
男B「俺達に逆らってタダで済むと思うなよっ!」
失神しているもう一人の男を担いですごすごと逃げ去って行く男達。その瞬間、周囲の野次馬からは大歓声が沸き起こる。
あいこ「どーも、どーも♪」
両手を振り、歓声に応えるあいこ。
「凄い!凄いぞっ、若い『お兄ちゃん』!」
あいこ「え!・・・」
野次馬からの悪意の無い歓声に硬直するあいこ。
「あんな小さい『男の子』なのに三人のヤクザを一度に倒すなんて、格好いいわ〜♪」
あいこ「あ、あの、皆さん!あたしは女なん・・・」
゛パチパチパチパチパチパチパチパチ゛
無情にもあいこの言葉は野次馬、付近の住民達の心からの拍手と歓声にかき消されてしまう。
あいこ「・・・・・・(ある程度覚悟はしとったけど、やっぱきっついな〜・・・)」
真相を語るのを諦め、複雑な表情でおんぷの元に戻るあいこ。

おんぷ「38秒か。あいちゃんにしては手間取った感じね。」
江戸時代なのに何故かストップウォッチを持っているおんぷ。
あいこ「い、いやあ〜♪面目無い!最近ちょっと体がなまってるんちゃうかなあ〜♪」
おんぷの隣の少女は驚きながらも、
まりな「凄い・・・私と同じ歳位の『男の子』なのに。」
あいこ「!!」
まりなの言葉に止めを刺された感じでショックを受け、ガクッと肩を落とし、うなだれるあいこ。
おんぷ「まりなちゃんって言ったっけ?あいちゃんは女の子よ。」
静かに訂正するおんぷ。
まりな「ええっ!?ご、ごめんなさいっ・・・『男の子』にしか見えなかったから・・・」
あいこ「・・・え、ええよ、別に。もお慣れてるし・・・」
とは言うものの、悪気の無いまりなの言葉に更に傷ついたらしく、顔は笑っているが口元がヒクヒクと引きつっているあいこ。
まりな「本当にごめんなさい。でも、あいちゃんて凄く強いんだね。」
あいこ「そ、そんな事あらへんよ。さっきあたし等と一緒におった眼鏡掛けた子、はづきちゃん言うねんけど、あの子が本気出したらメチャクチャ強いねんで♪」
まりな「はづきちゃん・・・?眼鏡を掛けた・・・」
首を傾げ、暫く考え込むまりな。
まりな「あっ、そう言えばいた様な・・・」
どうやらはづきの存在を認識したらしいまりな。
あいこ(この子、知らず知らずの内に誰かを傷つけるタイプやな・・・)
まりなを見ていて、あいこは思った。
おんぷ「さあ、あいちゃん、早くはづきちゃん達と合流して宿を探さないと。このままじゃ野宿確定よっ!」
あいこ「そやな、でも見つかるやろか・・・?」
不安げな表情のおんぷとあいこ。
まりな「あ、あのっ、その事なんだけど、もし良かったら私の家に泊まらない?」
おんぷ「えっ、良いの?」
途端に表情が明るくなるおんぷ。
まりな「うん。たいしたもてなしは出来ないけど、助けてもらったお礼がしたいの。」
あいこ「おんぷちゃん、良かったやんか♪野宿せんで済んだで♪」
おんぷ「そうね♪これも何かの縁だし、じゃあまりなちゃん、一晩お世話になります♪」
まりな「うん♪」
おんぷ「じゃあ、はづきちゃんとどれみちゃんを迎えに行きましょうか。」
あいこ「そやな♪」

***********

一方、その頃ステーキ屋店内のどれみ達は・・・
はづき「どれみちゃ〜ん、しっかり〜!」
かなえ「お客さま〜、大丈夫ですか〜!」
今だ生きる屍状態のどれみを顔を叩いたり、ほっぺをつねったりと必死で起こそうとするはづきとかなえだが、当のどれみはピクリとも動かない。
かなえ「!?」
どれみの異変に気付き恐怖に脅えるかなえ。
かなえ「・・・お、お客様のく、口から何かが出てきている・・・」
はづき「えっ?ああっ!」
それはお団子頭の誰が見ても明らかなどれみの霊魂だった!
はづき「キャアアア〜!!!ど、どれみちゃん!!まだあの世へ行くのは早すぎるわよっ〜!!」
悲鳴を上げながら必死にどれみの霊魂を捕まえて(?)どれみの口の中に押し戻すはづき。
はづき(あいちゃ〜ん、おんぷちゃ〜ん・・・二人とも、お願いだから早く帰って来て〜!!)
泣きながら心から願うはづきであった。

第三話 ゛完゛

第四話(予定)『(タイトル未定)』

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