鉄道写真の部屋


すでに21世紀を迎えていたときに昭和の初めに
タイムスリップしたような鉄道風景が存在していました。
古い車体を揺らしながら力走する姿は老いてまだ現役と言わんばかりだった。
ここで紹介している線区はすでに廃線になってしまいました。
この二度と見ることができない風景を展示しています。


1.美濃町線 新関〜美濃 間
 写真1

始発電車はまだ夜が明けないうちから走っていた。 
静かな闇の中でモーターの音だけが鳴り響いていた。
1999年12月 神光寺駅


 写真2

始発駅を出ると線路は掘割の中を進む。
 勾配になっているのか加速音が力強い。
1999年12月 美濃駅近く


 写真3

駅で乗り降りする顔ぶれはいつも同じだった。 
夕方になると近くの高校の生徒が電車を待っていた。
2000年2月 神光寺駅


 写真4

ここに通ううち、生徒とも顔なじみになった。
「おじさーん、写真撮ってーっ」といわれ写した写真。
2000年2月 神光寺駅

写真5

途中の乗換駅に来るあいだに雪が降り出した。 
暖かい車内から降り立った乗客も寒そうだった。
2000年1月 新関駅



2.谷汲線

 写真6

大正生まれの古豪が2両連結でいまだ現役で活躍していた。
 春爛漫のホームには桜の花びらが散っていた。
2001年4月 黒野北口駅


 写真7

代掻きのすんだ田んぼに赤い車体を映して古い電車はのんびり走る。
走り去ったあともモーターの唸り音だけがあたりに響いていた。
2000年5月 赤石-長瀬間


 写真8

途中には唯一交換のできる駅があった。
 普段は静かな駅がほんのひととき活気付く。
1999年5月 北野畑駅


 写真9

窓から心地よい風が入ってきた。 線路脇には彼岸花が咲いている。
この電車は風景のなかにとけこんでいた。
1998年10月 谷汲-長瀬間


 写真10

ここはときとして大雪に見舞われることがあった。
線路に積もった雪を掻き分けながら電車は走る。
 雪をのせた姿がどことなくユーモラス。
2001年2月 赤石駅近く


 写真11

二日間降った雪がやんだ。 すでに日は西に傾き雲が赤く染まりかけていた。
 窓から見た景色はまさに冬だった。
2001年2月 谷汲-長瀬間


田園風景の中を走っていた赤い電車はその後
それぞれ違う運命をたどりました。

この原風景はすでに過去のものとなってしまいました。
長く通ったこの風景を美しく記録できたと思っています。


鉄道写真番外編

名古屋鉄道には名物風景が多く存在していました。
写真6の車両も大正15年製の古典車両です。

 写真12

かつて、木曽川には併用軌道橋といわれる鉄橋があった。
鉄道と県道が同じ橋を渡っていたのである。 路面電車以外
では、全国でここだけだった。


 写真13

2002年8月まで活躍した戦前の古豪3400型。
昭和12年の製造で当時は特急用の車両だった。


 写真14

岐阜市内に今も走る路面電車。
全国でも珍しい2両連接型車両が狭い市内を走る。


 写真15

新空港に向けて路線改良が進む常滑線の撮影名所、
日長川の鉄橋。 2005年からここを空港特急が走る。


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