三脚を選ぶ

写真撮影に欠かせないのが三脚だ。
昼間の撮影のときには速いシャッターが切れることもあるので必要ないこともあるが
風景写真の場合は感度が低いフィルムを使ったり絞り込んだり、PLフィルターを使う
など、シャッター速度が遅くなることが多いので三脚は必須と考えるべきだ。

三脚を選ぼうと思ってお店に行っても、さまざまな大きさ種類のものがあって迷って
しまうのが実情ではないだろうか。 自分に合った三脚をさがしてみよう。

A.ロックの方式
伸縮するパイプをロックする方式には大きく分けて、ネジ式とワンタッチ式がある。
それぞれ良さがあり、欠点もある。 好みで選んでも差し支えないだろう。

 

左はネジ式の例、フランスの名門GITZOだ。 締め付けの確実さは比類がない。
右はワンタッチ式の代表ともいえるイタリアの名門、Manfrottoだ。 ここ一番の即応性は
抜群でファンも多い。


B.高さと段数
できるだけ高さがあるものを選ぶことになるが、歩いての撮影が多い場合は
携帯性も考慮しなければならない。 その場合、段数の多いものなら縮めたとき
短くなる。 ただ、最下部のパイプが細くなる欠点もある。


C.重さと材質
最近の三脚は金属製の物と非金属製の物に分けられる。
金属製の物は重量があり、風が強いときでも安定するが、徒歩での移動が多い場合には
携帯性に劣る。 非金属製のほとんどはカーボンファイバー製で持ってみると拍子抜けする
ほど軽く携帯性は抜群であるが比較的高価だ。
最近では、バルサルト製のさらに軽量な三脚も発売されている。



T-Version三脚を見る。

風景写真家、田中達也氏監修の風景撮影に特化した限定発売の三脚だ。
三脚としての基本的機能は普通の三脚と変わらないが、各部に風景撮影のための
工夫がある。



工夫その1
風景を撮影していると足元に可憐な花が咲いていることがあるが、
一般的な三脚の多くは地面すれすれのローアングルは不可能なことが多い。
T-Version三脚はこういう場合に威力を発揮する。

 

三脚最下部の石突ゴムを外すとメネジ穴が現れる。

 

三脚を横倒しにしたままメネジ穴にアダプターを取り付けてフリー雲台などを取り付けて撮影する。




工夫その2
風景写真は雨中での撮影や風が強い日の撮影という場合もあり、ときには
三脚を水に入れてということもあるが、その後には間違いなく
締め付けネジの動きが悪くなったり、伸縮が渋くなったりする。
これは内部に砂粒などの異物が入ったことが原因だが
そのままにしておくと寿命を縮めるのでメーカーに修理を頼むことになる。
そういうときにT-Version三脚は威力を発揮する。

簡単にできる手入れの方法。

 

締め付けネジを完全に緩めてパイプを引き抜く。

 

引き抜いたら部品がはまっていた向きや数を確認して部品を外す。
各パイプの外側はタオルで拭き、内側もスポンジなどで掃除する。

 

締め付けネジのネジ山とパイプのネジ山も歯ブラシなどで掃除する。
水を流しながら行うと効果的だ。



プラスチック製の部品も水で洗う。
弾力性があるが、破損しないように注意しよう。
指先にザラザラ感がなくなったらきれいになったサインだ。

 水洗い後、十分乾燥させたら元どおりに組上げればできあがりだ。
T-Version三脚はネジ部にグリスを使っていないから簡単に掃除できる。
汚れることが多い風景写真用三脚の面目躍如だ。

他にも風景撮影のための工夫がある。
脚の角度切り替えの廃止、センターポールのネジ締めなど軽量化と故障防止が
図られている。


参考
ネジ部にグリスを使用した三脚でもメンテナンスは可能だが、汚れたグリスを
洗い落とすクリーナーが必要だ。
その後、同じ硬さのグリスを用意する必要がある。
硬さの異なるグリスを使用した場合はネジの回し具合が変わってしまうことがある。
中には特殊なグリスを使用した三脚もあるので、その場合はメーカー修理に
よるしかない。


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