8月、9月にNHKの人間講座で前阪神監督の星野仙一さんが
『人を動かす、組織を動かす』という番組を2ヶ月放送されていました。
『人を動かす、組織を動かす』については…
http://www.nhk.or.jp/ningenkoza/200408/mon.html
ダメ虎、阪神タイガースを18年ぶりに優勝させた手腕や熱血ぶりが
とかく注目されますが、このシリーズを見ていますと、星野前監督の
指導力や人間性の裏には家族や多くの人との出会いや支えがあった
ことがよく分かります。
どの人との出会いも勉強になりますが、私が印象深いのは星野前監督の
大学時代の監督であり、恩師である島岡監督との出会いだと思います。
ご本人は早稲田大学や阪神の村山投手にあこがれ、彼の母校である関西大学
への進学を希望されていたようですが、当時の高校の監督でおられた矢吹
先生のご指導で明治大学に進学されました。
(星野前監督の母校 倉敷商業の監督でおられた矢吹先生も実は明治大学
だそうです。)
矢吹先生は星野さんの今後の人生と人間力を鍛えるために、明治大学への
進学を勧められたのではないかと思います。
中でも、島岡監督の厳しくも愛情のある話しが印象的です。
その1:大学2年の春 早稲田大学との第1戦でノックアウトされた夜の
2時頃に叩き起こされ、グラウンドのマウンドでパンツ一丁で
正座させられたそうです。
島岡監督曰く『お前はこんな素晴らしいグラウンドを持ちながら、
なんとだらしないピッチングをするのか。グラウンドの神様に謝れ!』
ここまでは、よくありそうな話です。
ところが大切なのは、ここからです。
当日は、雨がシトシト降っていたそうです。
正座は朝まで続きました。星野前監督はマウンドに正座させられ、
やがて、まわりが明るくなってくると、ホームベースで島岡監督が
向き合って、同じようにじっと正座しているのが分かったそうです。
これと同じようなことを他の部員にも、島岡監督はされておられた
ようです。
こうして野球は技術だけでなく、野球の神様、グラウンドの神様に
感謝して、一生懸命に物事に取り組む必要性を身をもって、
教育されたそうです。
その2:当時の明治大学ではキャプテンが一番汚い便所を掃除する伝統が
ありました。それも常に舐められる状態にすることが求められて
いました。
ある時、星野前監督が下級生に命じて、丁寧にやっていなかった
ことが発覚しました。
島岡監督から呼び出しを受けたことはもちろんですが、便所の掃除は
こうやってやるんだと自ら便器に手を突っ込んでガンガン掃除を
されたそうです。
こうして、人間に必要なもの、上に立つ者の心得などの教育をされて
いたのです。
島岡監督以外にもお母さんやお姉さん、入団当時の名将水原監督
や野球界の先輩との出会いの中で『あの星野前監督があるのだな…』
と思うと同時に、この番組は会社や家庭、学校などを問わず、教える
立場にある人には必見の番組、必読の書です。
(残念ながら、番組の再放送も終了しましたが、内容を詳しく書いた
テキストはまだ購入可能ですので、ご興味のある方は一度NHK
出版に問い合わせて見てください。)
なお、下記NHK出版オンラインでもお求めいただけます。
http://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=0130&webCode=61891072004