Kuze N, Kanamori T, Malim TP, Bernard H, Zamma K, Kooriyama T, Morimoto A, and Hasegawa H. (2010) Parasites found from the feces of Bornean orangutans in Danum Valley, Sabah, Malaysia, with a redescription of Pongobius hugoti and the description of a new species of Pongobius (Nematoda: Oxyuridae). American Society of Parasitologists 96: 954-960.

著者:久世濃子,金森朝子,テトロ・ペーター・マリム,ヘンリー・ベルナルド,座馬耕一郎,郡山尚紀,長谷川英男郎

タイトル:マレーシア・サバ州のダナムバレーにおいて、ボルネオ・オランウータンの糞から発見された寄生虫:Pongbius hugotiの再記載と新種Pongbius(線虫:Oxyuridae)の記載

要旨

ボルネオ・オランウータンの寄生虫感染に関する基礎的な情報を得る為に、マレーシア領サバ州のダナムバレーに生息するPongo pygmaeus morio(Owen, 1837)の糞分析を行った。25個体から得た73の糞サンプルから、Entamoeba coliEntamoeba spp.と Chilomastix mesniliの嚢胞、 Balantidiumcoliの嚢胞と栄養体、Trichurisの一種・円虫(属不明)・Strongyloides fuelleborni・蟯虫(属不明)の卵、およびStrongyloides sp.(杆線虫上科)の幼虫がみつかった。Pongobius hugoti (Barusˇ et al., 2007)と 新種Pongobius foitovae(蟯虫科Enterobiinae亜科)の成熟及び未成熟寄生虫が糞中から見つかり、記載した。Pongobius foitovaeは、Pongobius hugotiよりも食道体が長く、雄のカギ状の針状体が長くかつより遠位であり、雌の陰門の位置がより後方に位置する、という特徴から容易に識別できる。複数の非Enterobius亜科蟯虫の存在は、オランウータン-蟯虫関係の顕著な特徴であり(通常、類人猿1種につき1種の蟯虫の存在しか確認されていない)、これはオランウータンの種形成の過程を反映しているのかもしれない。他の哺乳類や原猿類(スローロリス)を宿主としていた蟯虫がオランウータンを宿主に変えた可能性もあり、オランウータンの進化の過程で複数の蟯虫との共進化が起きたことも考えられる。



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