Kanamori T, Kuze N, Bernard H, Malim TP, Kohshima S. 2010. Feeding ecology of Bornean orangutans (Pongo pygmaeus morio) in Danum Valley, Sabah, Malaysia: a 3-year record including two mast fruitings. American Journal of Primatology 72: 820-840.

著者:金森朝子,久世濃子,ヘンリー・ベルナルド,テトロ・ペーター・マリム,幸島司郎

タイトル:マレーシア、サバ州のダナムバレーにおける、ボルネオ・オランウータン(Pongo pygmaeus morio)の採食生態: 2回の一斉結実を含む、3年間の記録

要旨

ボルネオ島、マレーシア領サバ州のダナムバレーの低地混合フタバガキ林(原生林)で、野生のボルネオ・オランウータンの食物と行動を調べた。2005−2007年の調査期間中に2回の一斉結実が記録された。26頭のオランウータンについて合計1785時間の観察記録を収集した。1466サンプルの食物を同定し、調査地内の果実生産量を調べる為に落下果実センサスを行った。オランウータンの行動は、採食47.2%、休息34.4%、移動16.9%だった。採食時間に占める果実の割合は最も高く(60.9%)、特に一斉結実季に高かった(64.0−100%)。一方、葉(22.2%)と樹皮(12.3%)が採食時間に占める割合は、オランウータンの他(亜)種P. abeliiP. pygmaeus wurmbiiよりも高かった。調査対象個体は、119属160種の植物を食物として消費していたが、わずか9属が採食時間の大半を占めていた(9属合計で67.8%)。全調査期間を通じてFicusSpatholobusをコンスタントに消費しており、特に果実が少ない時季にこれらの食物を摂取していた。果実の採食時間は11.7%−100%という非常に大きな変動を示し、この値は落下果実量と相関していた。果実の採食時間と果実量が減った時、オランウータンはまずSpatholobusFicusの葉を採食し、次にSpatholobusとフタバガキの樹皮を採食していた。一斉結実季(オランウータンが大半の時間、果実を採食していた時)の採食時間割合は、全期間の平均値よりも高かった。また果実季の終わりには、活動時間に占める休息の割合が増加し、採食が占める割合は低下していた。以上から、オランウータンは果実季に蓄積したエネルギーを使って、非果実季を乗り切る、という最小エネルギー戦略に適応していることが示唆された。

キーワード:ボルネオ・オランウータン,採食生態,一斉開花,フォールバック・フード(救荒食物),アクティブ・バジェット(活動時間配分)

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