Kuze N, Malim TP and Kohshima S. (2005) Developmental changes in the facial morphology of the Borneo orangutan (Pongo pygmaeus): possible signals in visual communication. American Journal of Primatology, 65(3), pp 353-376.

著者:久世濃子,テトロ・ペーター・マリム,幸島司郎

タイトル:ボルネオ・オランウータン(Pongo pygmaeus)の顔形態における発達的変化:視覚コミュニケーションにおけるサインの可能性

要旨

ボルネオ島マレーシア領サバ州のセピロク・オランウータン・リハビリテーションセンターと日本国内の動物園で、合計72個体のボルネオ・オランウータンの顔形態を分析し、発達的変化を調べた。我々は今まで報告されていない、顔形態における明確な発達的変化と性差を発見した。目と口の周りの皮膚の白い部分は3歳までは顕著だが、その後に急速に黒くなり、7歳までに消える。同時にまばらで短い頭髪が、密で長い頭髪に変化する。目と口のまわりの白い部分やまばらで短い頭髪は、「コドモ」の示すサインと考えられる。一方、雌ではまぶたが20歳頃まで白かったが、雄ではまぶたは10歳までに黒く変化する。白いまぶたは若い雌であることをアピールするサインだと考えられる。また、本研究によって、二次性徴を発達させないオランウータンのオトナ雄(アンフランジ雄)は、「若い個体に擬態している」と今まで言われていたが、むしろオトナ雌に擬態していることが明らかになった。

キーワード:ボルネオ・オランウータン,Pongo pygmaeus,顔形態,インファント・シグナル,視覚コミュニケーション, 発達的変化

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