楽しい文化祭準備




ある私立学校の生徒会室。
そこで赤毛の少年と黒い髪の少年が縫い物をしていた。
「ああ、この一針が重いぜ。オレ様、象より重いもん持ったことがないから。」
黒髪の少年が返す。
「ダグ、僕は生身のフタバスズキリュウより重いもの持ったことないけど、こうして刺繍をしてるよ。」
「アーク・・・お前もやるな・・・ゲートオープン、サモン・デーモン!」
「ああ、僕もそれ知ってる。ラジオ番組でやってたよね。」
「オレ様も聞いてるぜ。・・・勉強しながら。」
いったん休止、と言わんばかりにダグラスが針を持つ手を止めた。
「だから、学校のゲートあんなマニアックなデザインにしたんだね。」
アークはまだちまちま縫っている。
「ああ、今のオレ様の世界は何かが間違っている・・・・アーク、お前が八人に見える・・・。」
ダグラスは涙ぐんだが、アークは無視した。」
「大丈夫、僕は自分がなぜ生徒会室で、なぜ刺繍をしているのか、見失いそうだよ。」
「ゲートオープン、サモン・デーモン!」
ダグラスが叫ぶと、生徒会室のドアがこれ以上ないほどの速さで開いた。
やばい予感はひしひしとする。
「ちょっと、ダグ!聞いたわよ!あのラジオ番組のゲートなんか提案するんじゃないわよ!」
美しい金髪の少女が怒鳴った。
「ひいいいいい、ホントにデーモンが来た!」
「誰がデーモンなのよ、あたしはリ・オ・ンよ!ほら、差し入れ上げるから。」
そう言って、リオンはダグラスの手に冷たい缶を置いてやった。
「ブラックコーヒーか、サモン・エンジェル!」
言い終えるとダグラスはコーヒーを一気飲みした。
それはもうきもちいいくらい。
「ったく、一気に飲んでおなか壊しても知らないわよ。で、私はどこを縫えばいいの?」
リオンが置いてあった裁縫道具から縫い針をを抜いた。
「んーと、端っこを頼んでいい?」
アークがダグラスの代わりに答える。
「こんな簡単なところでいいの?」
「うん、今、僕がやってるところが最難関だから。」
「それにしても見てて飽きないわねー、アークの刺繍。」
リオンは自分の分を縫いながら、話す。
「まあ、僕に出来る唯一の家事だから。」
アークも縫う。
「でも、僕も意外。リオンって良妻ってかんじがするのに縫い物あんまり得意じゃないよね。」
「ほかの事は出来るからいいのよ。缶コーヒーあなたの分もあるけど飲む?」
「うん。」
アークもダグラスと同じく一気に飲む。
「んもー、あんたたちは。似たもの同士ねぇ。」
ふとダグラスを見ると、彼は寝ていた。
「ちょっと!ダグ!起きろ!耳元で「夢」流すよ!」
アークが針を止めてダグラスのほうへ向かう。
「アーク、「夢」ダウンロードしたの?あれ、いい曲よね。」
「うん、僕もそう思う。」
そう言ってから、アークは携帯電話から大音量で歌を流した。
「うわわわわわわわわわわわわわわわ!」
ダグラスが起きる。
「刺繍サボんないでよ!とっとと針握る!」
「あたしだってろくに寝てないのよ、さっさと糸通す!」
こうして文化祭に近付きつつある日の朝は、誰かがスキップをしているかのように軽やかに過ぎていった。
END




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*atogaki*
私は生徒会に入ったことはないのでよくわかりませんが、友人が生徒会に入っていてとても楽しそうでした。
でも、二学期の文化祭の生徒会の出し物を作ってる姿を見たときだけは別ですが。
ちなみに私は「夢」好きです。
夢追い。