黒い髪の少年と、やはり髪の黒い青年が屋敷の屋上で相対していた。
もとは庭だったらしくいくつかの鉢やプランターが置かれている。
二人は木製の武器を持っていた。
少年は短剣を両手に一本づつ。
青年は比較的長い剣。
少年は青年に襲い掛かった。
青年が剣の大きさと腕力で少年の手を打つ。
からん
少年の片方の剣ははじかれてしまった。
少年はもう一方の剣で青年の腹部を狙う。
「ぐはっ。」
少年は青年に足で腹を蹴られた。
少年が倒れこむ。
「アーク、お前もまだまだ、だな。」
青年はリラックスした様子で言う。
「毎日素振りはしているだろうな。」
少年は応えられなかった。
それどころではないほど腹が痛い。
しばらく黙ってから少年は口を開く。
「もちろんしてる。くそ、これで今日負けたの21回目だ。」
「そろそろ夕刻だ。今日の訓練はこれまで。」
そう言うと青年は階段を降りていった。
やはり修行が足りないらしい。
孤児院での練習より今の修行の方がハードだ。
アークは腹の調子が戻ってから階段を下りていった。
一階に下りると銀髪の少年がトースターのようなものをいじっていた。
それを淡い金髪の少女と赤毛の少年、黒い髪を少し伸ばした少年が心配そうに見ている。
「よし、たぶんこれでいい。リオン、やったぜ!」
「ありがと、デュリー。これで今晩の心配はないわ。」
「今日は市場で買ってきたトーストが一人二枚食べられるわよ!」
子供たちは歓声をあげた。
ごちそうだ、豪華だ、たらふくくうぞなどと言いながらはしゃいでいる。
さすがに青年ははしゃいではいなかったが少し笑顔になっている。
そのあと、もちろん夕食タイムになった。
「ダグ、今夜だよね、コンピュータのいじり方教えてくれるのは。」
「俺様は構わないが、大丈夫か?」
「どういう意味だ?」
銀髪の少年がパンの耳をおいしそうに食べながら言った。
「いや、こいつ、さっきまで屋上で兄貴と剣の練習して、俺様にコンピュータの使い方教えてもらって、さらに魔法の理論書まで読む気なんだ。」
「ちょっと、アーク、倒れないでよ。」
「大丈夫だよ。今日朝遅かったし。」
「たしかに、朝12時は遅いよな。」
「どっちかというと昼じゃないか?」
「だって、夜の方が頭の回転がよくなるんだもん。」
「身長伸びないぞ。」
いろいろ注意されつつ、アークはトーストを食べていた。
「でも、そういうみんなはどうなのさ。」
アークが言うと青年以外全員目が泳いだ。
「おれもアークのコンピュータの扱い方の講習終わったら次に教えてもらうつもりだ・・・。」
「・・・株式相場終了後に次のアジト候補しぼらなきゃいけないわ。」
「オレもみんなの銃器の手入れしなきゃならない。」
「ほら、みんな用事あるじゃん。」
アークが総括すると、青年以外全員ため息をついた。
勉強って大変だなぁ・・・・・・・。
子供たちは未来に芽を伸ばすため、今ため息をつく。
きっと未来に必要なことだから。
END
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*atogaki*
アークたちは機材にお金を使って、食費にはあんまりお金をまわしてない模様。
トーストで喜ぶ子供っていったい・・・・パソコン持ってる(しかも複数台)のに食べ物があれって・・・。
普段何食べてるのかはご想像にお任せします。
一刻も早く強くなりたいらしいアークがかわいいと思うのは私だけでしょうか。