天空大陸上のスラムの闇市。
黒い髪の少年と赤毛の少年が商品をちらちら見ながら歩いていた。
「はい、ぼうやもどうぞ。」
黒い髪の少年はビラ配りの女性から一枚の紙をもらった。
タイトルは「合格できる!大学に!」とある。
ちょっと気になったのでアークは普通のポケットにその紙を折りたたんで入れた。
「あ、ダグ、ちょっといい?」
黒い髪の少年が市に出ている露店を見た。
「アーク、何かいいものあったのか?」
「うん、このニードルガンと針のセットが上質な上安いな、と思って。」
露店を出しているヒゲヅラの男が不審そうにアークを見た。
「何だ、ぼうやが使うのかい?」
「もちろん。これ、出血大サービスですね。」
「お、この良さがわかるのかい。ニードルガンは打てるやつがなかなかいなくて売れねぇんだ。」
「じゃ、これ買います。・・・・僕、将来有望な子供だし何かおまけとかないですか?」
「ニードルガン使いの最低年齢を見せてもらったんだ、ニードルのダース3個つけてやる。」
「いよっ、ふとっぱら!」
ニードルガンを受け取るとダグラスとアークはその店をあとにした。
「なあ、俺様もニードルガンはお前が手入れしてるの見たことあるけど、そんなに使えないのか?」
「いや、撃てば鉄板くらいなら貫通する。その分正確に撃つのが難しいんだ。」
「ふーん。普通の銃じゃだめなのか?」
「人間を撃つだけならそれでいいけど、頑丈な合成生物やら逃げ道作りならニードルガンの方がいいね。」
ダグラスは懐からメモを出した。
「えーと、他に買うものは・・・・ないな。」
「え〜、もうちょっと周ろうよ。」
「ダメだ。さっきニードルガンも買ったし短針も買ったし電子ブックも買っただろ。」
「ちぇ。」
二人の少年は闇市からアジトに帰った。
一部雨漏りするアジトに帰ると、二人の少年少女がいた。
「あら、お帰り。ちゃんと頼んだもの買ってきた?」
蜜のような金髪の少女が尋ねると、ダグラスは頷いた。
「それにしても遅かったな。」
本当に待ちくたびれたのだろう、その少年は少しイライラしているようだった。
「アリスト悪い、こいつが自分の分の金3/4使ってたからよ。」
ダグラスがパソコンの器具を出すとアリストは作業を始めた。
アークはそういえばチラシをもらってポケットに突っ込んだことを思い出した。
突っ込んだ紙を出して広げるとこんな様なことが書いてあった。
「合格できる!大学に!
今からでも遅くはない!特待生として学費無料しかも生活費までもらえる極上の生活が!
もちろん勉強の内容も充実!」
「ふーん。」
ダグラスが紙をのぞきこんだ。
「あー、これ有名だよな。受けたやつの99パーセントは落ちるってやつ。」
「みんな。」
アークはチラシから顔を上げた。
「僕、大学行っていい?」
え?
アーク以外の全員の顔がそんなかんじになった。
「やめとけよ、落ちるって。」
ダグラスが言うと、アークは真剣な眼差しで仲間たちを見る。
「合格しないかもしれないけど、僕はやってみたい。」
「何で?」
「僕はもっと強くなりたい。だからだ。」
「あのねアーク、あなたが私たちの護衛役なのよ?わかってて言ってる?」
「もちろん。戦い方くらいなら教えるよ。」
「戦い方って、付け焼刃でどうにかしろって?」
「うん。」
ふう、とダグラスがため息をついた。
ここまでくると、アークは絶対意見を曲げない。
仕方がない。
「わかった、その代わりにだ。」
ダグラスも真剣にアークに向き合う。
「俺様たちに武器の使い方教えろ。身を守るためにな。」
「ありがとう。」
こうして、その一日は終わった。
後日、ダグラスは散々怒られていた。
「ダグ、もうちょっと上・・てどれだけ上にする気?もちょっと下だよ。」
ニードルガンの訓練は非常に難しかった。
リオンは短針の技、アリストは拳銃の訓練だけ。
ダグラスは拳銃の使い方も教わったが、興味があったのでニードルガンの使い方も教えてもらっていた。
「ほら、肩から腕も伸ばして。衝撃で骨折するよ。」
ダグラスは必死で腕を伸ばした。
「うん、そんな感じ、さてトリガー引いて。」
ぱあん
激しい音がして用意した鉄板に穴が開く。
「・・・・ものすごくずれてない?」
「う。」
アークは受験勉強をしながら仲間に護衛術を教えた。
アーク以外に魔力を持った人間はいないのでこうなる。
「僕も明日試験だから。」
アークはため息をついた。
「じゃあ、この辺で」
「ダメ。ほら、ちゃんと構える!」
この調子でその日は過ぎていった。
アークはダグラスについてきてもらってペーパー試験の会場にたどり着いた。
ダグラスがいなかったら試験会場に着きすらしなかっただろう。
自分が受験するわけでもないのにダグラスはアークを規定の場所まで案内してくれた。
アークが座るとダグラスは言った。
「トイレは我慢しろよ、トイレに行ってる間に試験が始まる。あと、この席の端っこに置いてあるのがお前の受験番号みたいだ、なくすなよ。」
「わかってるって。」
アークは言いながらカビの生えた本を読んでいた。
「その調子なら受かるさ、ペーパーは。がんばれ。」
ダグラスはアークの肩をぽんと叩いて教室から出て行った。
ありがとう。
アークはそんな気持ちでいっぱいになった。
ここまで来たからには自分の実力を存分に発揮してやる。
アークは気合を入れなおした。
END
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*atogaki*
どこで切ればいいのかわからなくなり、結局全部書いた話。
読みづらくてすみません。
そして何をかけばいいのか全くわからないあとがき。
堪忍してくれ〜。