天空大陸上の都市ティカーノ。
国立アーガスティン大学のの大学寮に三人はいた。
大柄な青年ソファに座りがほがらかに笑った。
「なんだ、ディトナも知ってたと思ったんだけどな。」
「私はあまり知らない。」
深緑色の髪の青年はディトナはフリスクの横に座って、首を傾げた。
「で、どんな話さ。」
二人の青年に向かい合うかたちで、黒い髪の少年はフリスクをせかした。
「神話で、とある男がろうで固めた鳥の翼で太陽まで行き着こうとした。
だが、太陽に行き着く前にロウが溶けて翼が壊れて墜落して死んだ男がいたってやつだよ。」
黒い髪の少年は首を傾げた。
「何か似たような話なら聞いたことがあるけど、そういうのじゃなかったような・・・。」
「どういう話だ?何かアークが聞いた神話や童話って全部殺人事件寄りでおもしろいといえばおもしろいが。」
アークは、話し始めた。
「古代、太陽と人との契約で人間たちは金属や、ロウで出来た翼をつくり太陽に降り立ってもいい、ということになった。
大勢の人間がその契約を信じ、翼を作った。
しかし、太陽は契約を守らなかった。
フリスクが言ったような事情で死者とけが人が出た。」
ディトナはうんうんと頷いていたが、フリスクは首を傾げた。
「太陽との契約?どうやってやるんだ、そんなこと。」
「知らないよ。
で、墜落してなお生き続ける人間の間で争いが起こった。
太陽に行き着くことができなかった責任は誰にあるのか。
暗黒時代がおとずれた。
責任のありそうな人間をよってたかって殺した。
人間は頼った、神々の知恵に。
禁忌を犯し、神々の声、歌、詩を覚えた。
そして、今度は神々を怒らせた。
神々は人に「愛」を与えた。」
フリスクとディトナははい?問いわんばかりの顔になった。
「愛?いいことじゃないのか?」
「愛は人々に殺せない者を作った。
たとえその愛する人間に責任があろうとも殺せない人間を。
それは慈悲かもしれない。
けれども殺せないと錯覚していただけで、人は人を殺せた。
「愛」というもののために殺し合いの連鎖が起こるようになった。
はい、おしまい。」
「「はい、おしまい」じゃねえだろ。
「愛」のせいで殺し合いの連鎖を?」
「うん。
「愛」は愛している者が殺されたとき、人に憎しみを与える。
そして、愛している者を殺した者を殺させた。
よくある話じゃないか。」
「そんなにないぞ、こんな話。」
「だーかーらー、僕はあくまで嘱託殺人業になるように教育されてたわけ。
そういうわけで僕らの認識は天空大陸の人間全て堕天使、ってかんじかな。
フリスクの話じゃあ刺激が足りなかったんだろうね。」
フリスクは黙り込んだ。
「「愛」は人を殺すって漫画があったような・・。」
ディトナが思い出した。
「あるよ、魔族聖典。前、貸したじゃん。」
「まだ、きっちり読んでない。しっかり読む。」
「うん。そうしなよ。」
「おい、お前らきれいにまとめるなよ。」
「いいじゃん。覚えときたかったらあの話覚えといてもいいし。」
「俺は本気で忘れたいぞ。」
「じゃあそうすれば?」
こうして、男だらけのティータイムは過ぎていった。
END
*atogaki*
午後のティータイムな話を書いてみようと思ったらこうなりました。
いかがでしょう、アフタヌーンティーに。
愛について無理に語ってみました、・・・・なるべく質問はしないでね・・・・・。
アークの愛も偏っていますから。