天空大陸上の都市テルカーノ。
国立アーガスティン大学の大学寮で、少年は寮の事務官に呼び出されていた。
分厚い小包が来たと言うのだ。
仕方なく迷いながらも事務室を目指す。
「アークさんですね。」
「はい。」
「じゃ、はい、これ。」
アークは差出人不明の小包を受け取った。
今度はどんな嫌がらせだろう。
そう思うと嫌な意味でわくわくするが。
アークは常人の3倍ほどの時間をかけて自分の部屋に戻った。
部屋に戻ってから小包を開けると、紙が大量に入っていた。
一番上の紙を見ると「天空大陸についての研究」とある。
その紙を一枚めくるともう論文になっていた。
目次も何もない。
これを読めと?
そう思いつつアークは論文を読み出した。
天空大陸のことなどさんざん研究されているような気がするがとにかく読む。
読み終わったあと、アークの顔が引き締まった。
携帯電話を取り出して2人の人物にメールを送る。
すぐ来てくれ、と。
フリスクは同じ寮にいたせいか真っ先にアークの部屋に来た。
「何だよ。俺は赤点取った科目の勉強で忙しいんだ。」
「フリスク、この文書読んだら赤点より気になることが書いてあるよ。」
フリスクもその文書を読み始めた。
ぴーんぽーん
「はーい、明けまーす。」
ドアを開けると美青年が顔をしかめて立っていた。
「何なんだ、オレも忙しいのだ。早くしてくれ。」
「わかってるって。フリスクが読み終わったら読ませてあげるから。」
そうして二人の青年が論文を読み終わったところ、3人とも真剣な表情になっていた。
「この天空大陸が住人の死骸でできた大陸だと・・・!」
「真実かどうかは知らないが、グレイヤボードに死体を捨てれば山ずみになるはずが、実際にはそうなってない。・・証拠はないが・・・ありうるな。」
「何か僕だけ読んだら暗殺されそうだから読んでもらったんだけど・・・本当と思う?」
「否定はできないな。限りなくウソっぽいが、本当かどうか・・・。」
3人は考え込んだ。
死体が山ずみにならないグレイヤボード。
「この論文によると、死体に残った魔力で天空大陸を浮遊させているんだ、ってことになるけど。」
「フリスクの言う通り、否定はできない。だが、もしも本当なら。」
「本当なら?」
「こちらが証明しなくてはならない。それは不可能だ。」
フリードリヒはそう言って黙った。
「もうグレイヤボードなんか行きたくないし。」
「それもそうだ・・・て、おい。」
フリスクが眉間に深いしわを作る。
「アーク、お前がグレイヤボードに行ったとき、死体が動き出したな。」
「うん。」
「もしかして・・・・お前、何か呪われてないか?」
「知らないよ。」
2人用のソファに3人が倒れこんだ。
「っつたく、とんでもないことに巻き込まれたぜ。」
三人三様のしかめっつらが見られた。
「とりあえず、秘密ということで。」
アークが言うと当たり前だろ、という視線が2人の目からアークに刺さった。
END
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*atogaki*
というわけで大変な目に遭いそうなアークでした。
設定ころころ変えてすいません。
さあて、張った伏線を回収できるかな・・・?