天空大陸上の都市ティカーノ。
国立アーガスティン大学の大学寮ではこんな会話が出来上がっていた。
「オレはフリーマーケットを出すから、共に見て歩くのは無理だな。」
美青年が断言した。
「俺もフリマ出すから一緒には周れないな。」
大柄な青年が続ける。
「私もフリーマーケット出すから。」
黒い髪の少年は興味深そうに三人の青年たちを見た。
「で、何出すの?」
「それは当日まで秘密だ。」
「オレも。」
「私も。」
「ちぇー、みんな秘密主義。」
そういうわけで少年はパソコンを手にとってある人物と連絡を取った。
アーガス皇帝即位1000年祭というイベントがある。
無礼講、というわけにはいかないがたくさんの人間がフリーマーケットに店を出したりする。
そして今日がイベント当日だ。
「なあ、アーク、オレ様、本当に来てよかったのか?」
赤毛にそばかすの少年がこそっと聞いた。
「うん、もちろん。ダグが来てくれてうれしい。僕一人じゃとてもじゃないけど回れないよ。」
言いながら、歩く。
ふと見ると、フリードリヒのブースがあった。
「あっ、部品がある!」
人ごみをかき分けてダグラスがフリードリヒのブースに立ち寄った。
アークも続く。
「結局来たのか。なんだ、バルク品でいいのか?」
品定めをするダグラスに声をかけているが全然聞いていないようだった。
「これだ!!これこそがオレ様のパソコンの修理に必要な部品!」
ダグラスがいきなりバルク品のボードを手に立ち上がって叫んだ。
客引きには十分だろう。
「いよっ、兄貴!メモリーカード5枚とボード2個と新旧接続機まとめて買うから値引いてくれねぇか!?」
ダグラスが興奮して聞いた。
「そうだな、まあいい。で、支払いは?」
「金貨。」
「なら1枚よこせ。怪しまれないように釣りは貨幣を渡してやる。」
こうして、ダグラスの大きな買い物が終わった。
「しかし、こんなところにあんなモンがあるとはな・・・お前の友達だろ?」
「うん、友達。あ、あそこ、フリスクの店かな?」
アークが少し遠くを見た。
少女たちが接客していて、フリスクがげんなりしている。
売っている物は不用品になったアクセサリーだ。
もちろん高額で金貨一枚では何も買えないだろう。
「わー、かわいいのからかっこいいのまであるな。」
アークが見ていると、双子の姉妹に声をかけられた。
「いらっしゃいませ〜、それいいですよ、勝利の神とされるふくろうでーす!」
「ほらほら、猫ちゃんもありま〜す。使い魔付きのものもございま〜す。」
「え!?使い魔付?どれどれ!?」
アークが声を上げた。
使い魔は人の言うことを聞き、それを実行してくれるものだ。
どんな生き物状になるのかはたいてい秘密だ。
まるで樹氷をかたどったような星型の真っ白なガラスのプンダントトップを突きつけられた。
「これがそうで〜す。どお?」
「僕、氷はもう持ってるから。」
「じゃあ、こちらはいかがです?」
「ところでお兄さんは何もしないの?」
アークが言うと彼女たちは応えた。
「「兄様は細かいものを持つのが苦手でもう指輪一個壊しちゃったから罰ゲームでイスに座ってるんです。」」
「ぐったりしすぎてない?」
「ま、俺のことはどうでもいいから買い物してけ。」
フリスク自身も言ったのでアークは買い物に専念することにした。
いろいろ問答したが彼らは結局後回しにすることにした。
全然賑わっていないところにきた。
子供が汚したと思われる前掛けなどのあまり人気のない品。
その近くにディトナたちのブースがあった。
「あっ!これは!!!!!!!!!!!!」
アークがブースに置いてあった箱を見て叫んだ。
「すごいよ!ネピリムにヴァルキュリア!」
「何だそれ。」
「ネピリムは魔力を元手に撃つ銃弾のいらない銃だよ。ヴァルキュリアは敵の魔法によるガードを貫く銃だよ!」
「あ、すげえ!オレ様も欲しい!」
「ディトナ!」
アークが叫ぶとディトナが振り向いた。
「アーク来てくれた。どうする?」
「全部買う。金貨にしていくら?」
「ジェネラルで10枚。実弾の普通の物も含まれるけどいい?」
「もちろん!」
アークは受け取った大量の品を後で大学寮でダグラスにもわけることにして亜空間にしまった。
結局。
「リオンに光りと闇の使い魔が宿ったピアスも買ったし、あの氷のヤツもオレ様用に買ったしバルク品も買ったし、もう金がねぇな。」
「僕も満足。緑の使い魔が宿ったピン買ったし。特殊拳銃も、闇ルートで以外で初めて買ったし。満足満足。」
こうして、1000年祭は過ぎていった。
拳銃の分配もきっちり出来たのでとてもよい日だった。
「じゃ、次、いつ会えるかわかんねぇけど帰るわ。じゃあな。」
ダグラスも帰り、アークはベッドに寝転ぶとあっという間に寝てしまった。
end
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*atogaki*
フリマの話です。
やっぱり皆さん個性的なものを出しています。
最後の全部くれっていうのはすごいなー、大人買いですな。
使い魔はいてくれると便利な設定、アークは持っていてもあまり使わないようですが。