赤頭巾ちゃん気をつけて



ある日のこと。
ママアークのもとにラーメン屋さんが来ました。
そして、銀色のケースを置いてラーメン屋さんは去っていきました。
「赤防災頭巾ちゃん!赤防災頭巾ちゃん!」
赤頭巾ちゃんが嫌がる言い方で赤頭巾ちゃんを呼びました。
赤頭巾ちゃんは男として体格もよく人がいいため、みんなに好かれていました。
「ママ、なぁに?」
赤防災頭巾ちゃんは無理に首を傾げようとしてぐきっ、という音をだしました。
「この中にあるラーメンを森の中に住んでるおばあちゃんのところへ持って行って。」
ケースを見るとラーメンが二杯もあります。
本当におばあちゃんがそんなに食べるのか、疑問に思いながら赤頭巾ちゃんはケースを持ち上げました。
「こぼさないようにね。こぼしたらおこずかい5割ひくよ。」
殺生な。
とにもかくにも、赤頭巾ちゃんは家を出ました。

 つけられている。
赤頭巾ちゃんは気付きました。
しかし、森で無理にまこうとすれば間違いなく迷子になります。
赤頭巾ちゃんはどきどきしながら歩いていきました。
おばあちゃんの家に着くと、赤頭巾ちゃんは左右を見ました。
まだ何もしてこない。
おばあちゃんの家のドアを勝手に開けると、おばあちゃんが釘がいっぱい刺さったバットを持って玄関にいました。
「ええと・・・・おや、赤頭巾ちゃんだね。おばあちゃん、狼さんかと思ったわ。」
無表情でかつ平坦な口調でおばあちゃんが言いました。
バットを玄関の近くに置くと、おばあちゃんは鼻を動かしました。
「あ、おばあちゃん、はいラーメン。」
赤頭巾ちゃんがラーメンの入った箱を渡しました。
「おやおや、味噌チャーシューと本場風チャーシューねぇ。」
それからおばあちゃんはラーメンを食べ始めました。
赤頭巾ちゃんは妙なものを見るような目でおばあちゃんを見ていました。
おばあちゃんはすさまじい勢いでラーメンを食べ、すぐに2杯とも食べてしまいました。
「ああ、やっぱりおいしいねぇ。お駄賃にこれをあげるわ。」
おばあちゃんはタンスの中をがさがさと漁って二つのビンを出しました。
「おばあちゃんが若い頃、爪につけてたマニキュアだよ、ほらあげるわ。」
二つともビンはおしゃれでしたが中身がとごっています。
「狼参上!」
毛が伸びすぎて、イエティだか狼だかよくわからない生き物が現れました。
そして、これまたすさまじい勢いでおばあちゃんを食べていきます。
頭からばりばりと。
あまりのことに赤頭巾ちゃんはおばあちゃんが食べられるのをひたすら見ていました。
「ふう、お年寄りは中性脂肪が不足していけない。」
そう言って伸びをして狼が立ち去ろうとしました。
「おばあちゃんに何をする!」
赤頭巾ちゃんは狼の腹を思いっきり殴りました。
すると。
なぜか、おばあちゃんが五体満足な状態で狼の口から出てきました。
「これぞ、イリュージョン!」
狼がえらそうに言いました。
おばあさんも感心した様子で、狼さんもすごいねえ、などと言っています。
「と、とにかく!出てけ!」
赤頭巾ちゃんが叫ぶと同時に、玄関に猟銃の先端のようなものが出てきました。
「ママアークが着たからもう安心よ!」
ママアークは猟銃を狼に向けました。
「イリュージョンにうちのおばあちゃんを使うなんて許して・・・あげようかな?さ、撃つわよ!これに当たると歩くとぴよぴよという音が出る呪いにかかるわ。」
ママアークがいうと狼はすたこら逃げていきました。
「大丈夫だった?」
ママアークはラーメンを入れていた箱を見ました。
・・・見事に汁が漏れています。
「赤防災頭巾ちゃん、忘れてないわよね、約束。」
忘れていたかった。
が無情にも決まる。
「おこずかい、5割カット。」
こうして、関係者一同はほぼ無事に助かりました。
後日、狼さんは山に住処を変えたと言う噂もありました。
END




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*atogaki*
MMさまのリクエスト「赤頭巾ちゃん気をつけて」書いてみました。
とんでもないコメデイになりました。
赤頭巾ちゃんがフリスクなんて・・・似合わねー。
MMさまのみ転載可です。