新しいやり方と伝統



今日はホワイトデー。
なのだが体育館にはスケッチブックを持った舞、凍、洋子と愛菜がいた。
今回はやや大がかりな特訓らしい。
担当とおぼしき教師がゆっくりと歩いてくる。
洋子と愛菜を見て、顔をしかめた。
「今回は上級訓練で各フロアのリーダーのみのはずですが。」
「リーダーを支えるのもフロア生の責務のはずです。今回以降リーダーの支えになるつもりです。」
愛菜がしれっと言い放つ。
教師は反論をあきらめたようで、すぐに説明にかかる。
「複数体のロボットにどう対抗するか、今回は訓練兼テストをさせていただきます。よろしいですね。」
「はい」
4人全員即答した。

 教師が体育館の裏門から音を立てて大きなものが動く音がする。
「来るわね。」
愛菜は手袋を外し始めた。
「そうね、なかなか重そうな音がするじゃない。」
洋子が不敵に笑う。
「オレの仕事増やすなよ。」
凍はその場で軽くジャンプした。
そこにいきなり動きが軽やかになったロボットが侵入してくる。
舞は即スケッチブックに棒人間を書いた。
すると一番のりだったロボットが動きを止める。
そこに洋子が動きの止まったロボットに接近、ロボットの腹部を切る。
凍は凍で動いていた。
無傷のロボットに近付き、炎を生みだす。
あっという間にロボットの上半身を燃焼させる。
「洋子!」
舞はその間に3体ほどのロボットの動きを止めていた。
洋子の後ろに回ろうとして舞の罠にかかったロボットの胸部に触れる。
ロボットは平然と棒人間を振り払い、右フックを愛菜に浴びせようとする。
「止まってっ!」
舞が必死で棒人間を描く。
不思議なことに舞が声をあげた直後、一瞬愛菜に襲いかかったロボットの動きが止まった。
愛菜は右こぶしをしっかり握る。
その直後、ロボットが倒れた。

 何とか20体ほどのロボットを倒し終えたとき、全員が息を上げていた。
「やったわね。」
「うんうん、やったわよ。」
洋子と愛菜は教師を見た。
「役に立ったでしょう。舞さんには強い攻撃能力はありませんが、強力な補助能力を持っています。」
愛菜が不敵な笑みを浮かべる。
「わかりました。鈴夜舞はアシストとして登録させていただきます。赤井凍、あなたは十分なちからがあるようです。」
4人は教師を凝視していた。
ある回答を得るために。
「合格です。ですが今後も鍛錬を忘れないように。」
やった!

 体育館から出ると凍が自分のカバンをいじり始めた。
そして。
「これ、前のチョコの礼。ダチに聞いただけだから、まずかったら、その、悪い。」
凍の目は見事に泳いでいた。
先ほどの訓練で全員顔が赤いので表情の変化はわからない。
「ありがとう、絶対たべます!いつもお世話になっています。」
舞が一礼すると、それほどじゃねえから、と凍は言った。
先ほどの訓練の疲れがどこに行ったのか、凍は寮に走って行った。
洋子が舞の手にある箱を見た。
「お、なかなかいいの探したもんだね。」
愛菜も箱を見る。
「確かに、いい品ね。1人で食べてあげた方がいいんじゃないかしら。」
「そうですね。」
言いながら歩き出す。
寮に帰り、個人の郵便箱を見ると愛菜の郵便箱に何かが入っていた。
I Love YOU!愛菜様へ 針谷明
愛菜の血管が浮いてくるのがリアルタイムでわかる。
舞と洋子はこの後起こるであろう愛菜の怒りの爆発から逃げるため、すぐに自分の部屋に帰った。
END





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*atogaki*
とりあえずこれでホワイトデーの任務は果たしたかと。
ぱらぱらした文章ですみません。
洋子の刃物は鋭いようで、愛菜もなかなかなお手前。
書いていて、いいのかこの人たち!?と思いはしましたが。
一応まだ謎は残っています。