見たことのないもの



北欧系の母と日本人で神主の父との間に生まれた娘、なぜか母の金色の長く緩いウェーブの髪と父の金色の目を受け継いで金々している。
その名は鈴夜舞。
まさか、こんな日がこようとは誰も思わなかった。

 昼下がりの中学校。
地震が起きたら真っ先に崩れそうな旧校舎で授業は進められていた。
スーパーウルトラミラクル苦手な授業だ。
わからなさ故にこっそり欠伸をする。
追いつくまでだいぶ時間がかかるだろう。
高校入試に間に合うといいのだが。
そう思いながらも舞はノートに数学の担任が頭は丸、両手両足棒線の人間が両耳を引っ張る落書きをしていた。
これでも美術部員だ、なかなかの出来。
そしてふと上を見ると。
数学担任が顔を真っ赤にして歯軋りをしている。
やばい、どうやって切り抜けよう。
舞はひたすら凍りついていた。
そこでびよよ〜んという変な音。
両手両足棒線の人間が目の前にいた。
クラス中がざわめいた。
棒線人間は他人の机をぴょんぴょん飛び跳ねてから、担任の耳を後ろから引っ張った。
担任はもちろん痛がっている。
教科書を見ると教科書からさっきの落書きがなくなっていた。
もしかして。
舞は後で巨大な雷がくることを覚悟して、消しゴムで棒線人間をこすってみた。
すると、こすられた部分が消えた。
舞は必死で棒線人間を消しゴムでこすった。
担任が解放されたのは授業が終わる頃だった。

 そして、同じクラスの子に聞かれた。
あれどうやったの?、やり方教えてよ〜。
そんなこと、聞かれてもわからない。
友達もいないため助け舟も見出せない。
たぶん、自分自身にも自覚があってやったことで誰でも出来ることなら、彼女たちは方法だけ知るとあっさり自分のもとから立ち去るだろう。
そこに一人の男性が来た。
「貴方が鈴夜舞さんですね?」
「はい、そうです。」
舞の背中にさらなる冷や汗がでた。
変なところにつれてかれるのではないか。
「では、お送りして差し上げますので着いてきてください。」
舞はあっけにとられつつ、男性についていった。

 連れて行かれたのはどこでもない、家だった。
舞は男性の隣に座った。
前方には北欧系の美女と日本人らしからぬ顔の男性が座っている。
「こちらがパンフレットになりますが、こちらの学院では「ゆとり」といったものはあまりありません。かといって厳しすぎる面もないと考えています。
全寮制ですから自立心と克己心を養うためにもよいでしょう。」
男性は持ち出したパンフレットを出して、子供がどこどこ大に受かっただの、外交官として活躍しているなどさまざまなことを言った。
「お嬢さんが心配なのはわかりますが、ここで新しい環境に触れさせる、それが第一だと思います。」
その一言が決め手となったのか、舞は荷物をまとめることになった。
見たことないものばかり、ここはファンシーショップ?
北欧系の美女が手伝ってくれたおかげで荷物は短時間で準備できた。
「では、行きましょうか。」
舞はトランクに荷物を詰めて、男性の車に乗った。
車内の舞に向かって夫婦と思われる男女が手を振ってきた。
よくわからないが振り返す。
家は遠くなっていった。
END



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*atogaki*
一応新作です。
小学校のときに書こうと思っていたヤツ、しかも漫画で描こうとしてたブツ。
足腰が弱いのでよろしく。