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長崎県議・野本三雄の『長崎 夢、確かなカタチに!』

一問一答

2013年 10月

世界遺産推薦の政治的な背景を知りたいのですが?

県民の質問
長崎の教会群が推薦に漏れたことで、かえって世界遺産というものに興味が湧きました。そもそも世界遺産って何なんでしょうか?
野本の回答
そもそもは1960年、エジプト政府がナイル川流域にアスワン・ハイ・ダムを建設し始め、ヌビア遺跡が水没することが懸念されました。これを受けて、ユネスコが遺跡救済キャンペーンを開始し、世界の60か国の援助をもとに技術支援、考古学調査支援などが行われ、ヌビア遺跡内のアブ・シンベル神殿の移築が実現しました。
これを契機として、国際的な組織運営によって歴史的価値のある遺跡や建築物等を開発から守ろう、という機運が生まれ、1972年11月のユネスコ総会で世界遺産条約が満場一致で成立、20か国が条約締結した1975年に正式に発効しました。
日本は、先進国では最後の1992年に条約を批准し、125番目の締約国となりました。日本の参加が他の国と比べて遅れたのは、諸説ありますが、世界遺産基金の分担金拠出などに関する議論が決着しなかったためとも言われています。
県民の質問
日本はスタートが遅かったのですね。でも今はかなり懸命に推進しているようですが、なぜなのでしょうか?
野本の回答
もともとは遺跡を壊滅から守ろうとする運動だったわけですが、今は各国のプライドや地元の思惑が如実に現れる事業になっています。
例えば中国は国家事業として世界遺産登録を推進していて、20年前には6件だった登録数が、今は世界第2位の45件(2013年現在)となっています。
日本は1992年にようやく世界遺産のレースに参戦することになるわけですが、出遅れた分も取り返してやろうと、担当省庁は気合が入っていました。世界遺産は「文化遺産」と「自然遺産」に分けられますが、「文化遺産」を文化庁、「自然遺産」を環境省が担当します。国としてのプライドに加え、省庁間の競争意識も拍車をかけているわけです。
また世界遺産に登録されるメリットとして、内外の観光客が集まる経済効果が非常に大きいです。登録の翌年には観光客が3割増〜倍増したというデータが出ています。
県民の質問
登録にかけるものが国も地元も大きいのですね。登録に漏れた場合のダメージも大きいのですか?
野本の回答
日本が1992年に条約を批准してすぐ、暫定リストには12件の候補が並びました。最初の登録は翌1993年、資料作成が間に合うものから進められていったようです。以後、日本の推薦する遺産は登録率100%を誇りました。
当初の暫定リストのうち、残りが彦根城と鎌倉だけになったところで、文化庁は各自治体に立候補を呼びかけ暫定リストの強化を始めます。そんな中で、2008年、初めて「登録延期」という勧告を受けたのが平泉です。
当時は「平泉ショック」とも言われ、暫定リストに名乗りをあげた各地に大きなショックを与えました。ここで引き下がっては全国にダメージを残す、と文化庁は平泉に全力を投入し、2011年平泉は見事リベンジを果たして、地元のみならず全国の候補地の関係者をほっとさせました。今後は今年「登録不可」勧告を受けた鎌倉がどう対応するかを見守りたいところです。
この9月、昨年推薦を受けた富岡製糸場にイコモスの現地審査が入りました。この結果は来年5月に勧告として出され、6〜7月のユネスコの審査会議にかけられます。良い結果を期待したいですね。
県民の質問
長崎の教会群はギリギリまで第一候補だったと聞きましたが、推薦に漏れた理由はなんだったのでしょうか?
野本の回答
これまで文化遺産への推薦は文化庁が決めてきました。そしてギリギリまで、文化庁は長崎の教会群を推すつもりだったようです。
今年の一月、中村知事は文化庁を訪れ推薦を要望、文化庁側も協力を約束していました。その同時期、産業革命遺産に関わる長崎以外の地域の代表は官邸を訪れ、直接政府に産業革命遺産の推薦を要望しました。
結果的に産業革命遺産が推薦されることになったのは、政府の政治的な判断が大きいと思われます。特に、当初は候補に入っていなかった岩手県釜石市の資産が加えられていることから、震災復興支援の意味合いがあるのではないかと思っています。
長崎の教会群の何が不足という理由ではないでしょう。2015年3月は信徒発見から150周年に当たるので、県は是非ともこの機会に世界遺産登録を果たしたいという思いがあったのですが、1年ずれたことでその記念の年がイコモスの現地審査の年に当たるわけですから、大いに地元の盛り上がりをアピールをする機会を与えてもらったと考えたいですね。
一問一答
毎月1日に更新しています。
県民の皆さまにいただいたご意見・ご質問を、私が調べたり、関係部署に問い合わせてお答えしています。
一級建築士としての野本三雄にご質問をいただくこともございます。
皆さまのお声をお待ちしています!
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